ことばー男女差ー

ことばの男女差

1.日常会話での男女差のことばの傾向と特徴
a.男性的な表現
断定や命令を含み、主張・説得をするための表現を多く持つ。
b.女性的な表現
断定を避け、命令的でなく、自分の考えを相手に押し付けないで言い方をする。

2.男女差の事例
a.相手に何かを主張する表現、相手に回答を求める表現では、判定詞「だ」を省略すると女性的表現になる。
(例)
君は女だ。これは何だ。
あなたは女よ。これ何。
b.「よ」を述語の普通体に付けると男性的表現になる。ただし、判定詞「だ」、ナ形容詞の基本形の語尾「だ」を省略したものに「よ」を付けた言い方は、女性的表現になる。
(例)
これ、ちょっとつらいよ。様子が変だよ。僕は、学生だよ。
c.命令形、明示的な禁止の形は男性的表現になる。相手に動作を求めたりする場合、女性的表現では、依頼の表現を使う。ただし、依頼の表現でも、「てくれ」「てもらいたい」のような命令に近い意味合いを持つものは男性的表現になる。
(例)
こっちへ来い。そんなことするな。
こっちへ来てくださる。これ読んで。
d.普通体に「か」「かよ」を付けた真偽疑問文は、男性的表現になる。真偽疑問文の形を取る依頼の表現も、「か」を用いると男性的表現になる。「か」「かい」を省略し、上昇イントネーションを用いる表現を用いる表現を使うと、中立的表現になる。「の」を含む疑問文では、「のか」「のだ」の形は、男性的表現になる。女性的表現では、「か」「だ」を省略する。
(例)
君、明日のパーティー出席するか。これは、君のかい。
ちょっと、そこの本取ってくれないか。君もその本買ったのか。これ、誰が書いたんだい。
あなたもその本買ったの?これ、誰が書いたの?
e.強い主張を表す「ぞ」、相手に対する一方的宣言を表す「ぜ」は、男性的表現に限って用いられる。
(例)
こんな調子では、試験に落ちるぞ。おれは待ってるぜ。
f.「わ」は、自分の感情や、ある事柄に対する自分の印象を独り言のようにして相手に伝える表現であり、主に女性的表現として用いられる。
(例)
困ったわ。変な人がいるわ。
g.「おい」「こら」のように、強圧的に相手の注意を促す感動詞は、男性的表現になる。これに対して、「あら」「まあ」のような、眼前の事態に対する驚きを表す感動詞は女性的表現になる。
(例)
おい、しっかり仕事しろ。
まあ、汚れてしまって。
h.一般に、敬語表現を多く用いると、いっそう女性的な表現になる。
(例)
田中さんも、いらっしゃいます。明日の父兄会出てくださる?そんなこと申しました?
i.話し手・危機てを表す表現のうち、「おれ」「ぼく」「おいら」「わし」「おまえ」「君」は男性が主に用い、「あたし」は女性が用いることが多い。「わたし」「わたくし」「あなた」「あんた」「おたく(さま)」「そちら(さま)」は、男女ともに用いる。