古文の学習参考書ー小西甚一ー

小西甚一

戦前の解釈中心の古文の学習参考書としては、塚本哲三の『古文解釈法』が名高い。しかし、総合的な教養という側面では、戦後の高等学校の入試として、小西甚一の学習参考書が金字塔である。小西甚一の古文学習参考書三部作としては、『古文研究法』『国文法ちかみち』『古文の読解』(洛陽社・ちくま学芸文庫)がある。

長所としては、教養的で総合的なものであり、学者が本気で書いたという点が評価される。最新の学説なども反映し、改訂のたびに書き換えていた。現在では、大学院入試用、あるいは教師用指導書としても使用できると言われている。たいへん、良質なものである。

短所としては、点数とは無縁という印象を受ける。現在の洗練された入試問題では、情報処理の能力も要求されるため、共通一次テスト・大学入試センター試験という時代の中で消滅していく運命にあった。共通テストではどうなるか。おそらく、学習参考書としてではなく、教師用・大学院入試用として、残ることが予測される。