船井幸雄の教え

船井幸雄のものの見方・考え方

経営コンサルタントとして、多大な業績をあげている船井幸雄(1933-2014)氏は古今東西の本を読み、そして十分に咀嚼して多くのヒントを人々に与えてくれます。以下に、簡単に船井幸雄氏の思想をまとめてみましょう。

 

Ⅰ(生き方・幸運について)

まず、成功のする人の3条件として

1勉強好き

2プラス発想

3素直

をあげています。プラス思考であると、手相はよくなりますし、船井幸雄氏も自分のコンサルタントとしての経験から、五日市剛氏の「ツキを呼ぶ魔法の言葉」を絶賛しています。それだけではなく、「勉強・読書好き」ということはたいへんに重要だと思います。それは、理性を発達させることで冷静な判断力を磨き、反省や内省できるということであり、重要なことでもあるのです。また、販売の方法として、「その会社の得意な売り上げ部門に大幅に投資して、その上で売り上げの悪い部門の売り上げ向上を考える」ということも基本として述べています。これは生きていく上でも大事なことで、苦手なものを克服するよりも、まずは得意なものを磨いていき、一流になってから他の分野にも挑戦してみるということになります。まずは、苦手なものには触れないことが積極的にいけるコツでもあると思います。似たようなことを渡部昇一氏も、「得意なものを伸ばせば、自然と苦手なものを前にしてもそれを克服する気力や自信がついているので、克服できる」と述べています。とかく、苦手なものを克服することに目を向けがちですが、まずは得意なものを伸ばしてからやることが重要だということになります。

また、生きていると何か新しいことをするときに迷うことがあります。そのときには、以下の項目すべてにYESと答えられたら、それを行うと船井幸雄氏は述べています。その項目とは、以下のとおりです。

1心の底からそれをやりたいのですね?

2それは、世のため、人のために必要なことですね?

3それを実施することで、世の中を悪くしたり、バランスを崩したりすることはないですね?

4実際にそれをやる人たちは喜びますね?

5いずれは成功して、採算がとれるという確信がありますね?

6失敗したときには、自分で責任がとれますね?

このように自立した上で、一般的にいわれているカルマの解消、すなわち、

1人のためにつくす

2社会のためにつくす

3誰かを助ける

4人が喜ぶ価値のあるものを与える

という段階を行ったほうがよいと述べています。

また、人材作りの手本としている人物として吉田松陰をあげています。吉田松陰は、1年もの間に約80人もの弟子を育てました。その吉田松陰の方法としては、

1弟子が自分に自信がもてるようにした。

2一人一人の得意分野を聞いて、それを伸ばすように奨めた。

3「つきあう人すべての長所を見つけ、褒め、至誠でつきあいなさい」と教えた。

4「目的のためによいと思うことはすぐにやりなさい。悪いと思うことはすぐやめなさい」と教えた。

5「どんなことでもプラス発想するように」と教えた。

の5つに集約できると述べています。

人間関係についても述べていて、人に好かれるための条件として

1自慢しない。

2「私が、私が」と過剰な自己主張をしない。

3他人を認め、褒め、受け入れる。

4他人を否定したり、けなしたりしない。

5他人の欠点や短所を指摘しない。

6脅したり、いじめたり、足を引っ張ったりしない。

7世の中のためにならないことを以外は、変更させようとしない。

をあげています。当たり前のことではありますが、改めてみると考えさせられます。

そして、正しく生きる方法として、

1つねに世のため、人のために生きる。

2長所を活かし、短所にはさわらない。

3勉強し、よく働き、自分の使命をはたす。

4運がつく言葉を使う。

5自分のいる場所をイヤシロチにし、自分と自然を喜ばせる。

6成功の三条件(勉強好き、素直、プラス思考)を心がけ実践する。

とまとめています。常識的と思われるかもしれませんが、意外とできていないことなので、心がけておきたいものです。

 

Ⅱ(健康・心身について)

健康は重要です。健康であれば働けます(印相では仕事運と健康運とはセットで考えます)。さらには、運もあがり、精神的にも安定します。船井幸雄氏も健康は重要だと考えて、健康についてもその著作で多くのページを割いて説明しています。

普段おこなっていることとしては、以下のものをあげています。

○瞑想

○気功

○『易筋経』をもととした両手振り体操(スワイソウスワイショウとも呼ばれる)

1足を肩幅に開き立つ。

2左右の両腕をいっぺんに前後に振る。最初に背中のほうに引っ張り上げ、そのまま前に振り下ろす。

3軽く目を閉じ、意識を指先にあわせる。心の眼(意識の中)で、指先を追いながら、八分間、腕を振り続ける。

○睡眠時間は6時間

多くの交友関係の中には医師も紹介しており、名医の条件として、以下をあげています。

○西洋医学東洋医学にとらわれず、人間全体をみる。

○謙虚である。

○悪いところを指摘しないでいいところを伸ばす。

○患者を心配させないで、安心させる。

また、自然摂理の法則として、以下のものをあげています。

1早寝・早起き

2植物食を中心に食べる―よく噛みながら、20分ぐらいで食事をする。

3本物とつきあう

さらに次のことをあげています。

○酸化をとめ、還元力をアップさせるものを摂る

○微量ミネラルを十分に摂る

○よい水を飲む

船井式健康法は、「体は適度に使い、脳(アタマ)はできるだけ使う」と述べて、

1体は適度に使う。-両手振り体操(200から2000回)①両足を肩幅くらいに広げて立ち、膝は曲げないようにする。肩の力を抜いて手のひらを自然に内側に向けて両手をだらりと広げる。②まっすぐ前方を向いたまま、両腕を同時に少し強めに後方へ振る。③後ろに引いた反動で、腕は前に振られる。このとき、力を入れる必要はない。反動を利用するだけでよい。

2アマタはうんと使う。-最低でも週に二、三冊は本を読む(船井幸雄氏は速読を身につけており、小説はほとんどよまない)。

3体を冷やさないで、体温を高めにする。―①薬はできるだけひかえる②よい塩分を十分にとる③体温プラス4度、5度の風呂にゆっくりとつかる。

4ストレスをなるべく少なくする。―できるだけこだわらないで生き、良心に従って生き、プラス発想を行う。

としています。両手振り体操は、導引術の創始者早島正雄氏も「スワイソウ」という名称で推奨していたもので、背骨の矯正に役立つものとしても知られています。

参考までに、船井式健康法に大きな影響を与えた人物の名前を挙げておきますので、参考にしてみてください。

安保徹[あぼとおる](免疫学)・村津和正[むらつかずまさ](歯科医)・関英男(通信工学)

久司道夫[くしみちお](マクオビオティック・食養)・川島隆太[かわしまりゅうた](脳科学

白川太郎[しらかわたろう](医師)・石原結實[いしはらゆうみ]・新谷弘実[しんやひろみ](医師)

参考として、船井幸雄の霊能や易者についての、次の発言を紹介しておきます。

経営者は自分の才覚ひとつで従業員と家族を養っていかなければならず、完璧な事業計画を立てても、時流の変化、事故、災害などによって、計画がまったく思い通りにいかないことがよくあります。そのストレスたるや、相当なものといわなければなりません。そういう経営者を支援するために、私のようなコンサルタントがいるわけですが、実は多くの経営者が霊能者や易者ともつきあい、彼らからも助言を受けているのです。このことを40年も前に知りました。どんなに最先端のコンサルティング手法を駆使しても、それだけでは経営者の悩みを完全に払拭することはできない…ということに私が気がついたのは、1965年のことです。それ以来、私も近代科学の常識にこだわらず、超自然的なことや、人間の五感だけでははかりしれない未知の世界のことも理解しようと考えるようになりました。相談者に許可を得て霊能者や易者にも会い、経営がうまくいくように協力してもらってきました。

 

Ⅲ(長所伸展方法と短所浄化法について)

「長所を活かし短所に触れない」という「長所伸展法」という方法があります。これは、船井幸雄氏が命名したので、有名になりましたが、実はこれは「二宮尊徳」の言ったことばなのです。つまり、得意なものを徹底して行うと、楽しいので運がついてきますし、成果があがります。そうなれば、短所を直そうとする気力が出てきますので、そこで初めて短所の対策をするというわけです。近年では、現代の孔子と呼ばれた経営哲学者のドラッカーも似たことを述べています。割合では、長所を120%に伸ばし、短所を80%におさえるということです。売り場面積も売れているスペースを120%にして、売れていないスペースを80%にするという方法です。

本田健氏も、船井幸雄氏の考え方を発展させて、近著の『強運を呼び込む51の法則』(大和書房)の中で、「大好きなことが強運を呼び込む」として、「運のいい人は、自分の大好きなことをしながら、まわりの人とよい関係を保ち、社会的にも認められています。彼らには独特のリズムがあり、『こういう人が運がいいんだな』と感じさせる何かがあります。彼らは大好きなことをやっているので、イライラすることもありません。また、まわりの人にたえず気を遣っているので、誰からも好かれています。そういう人には何かあったら、たくさんの人が駆けつけてくれるでしょう。たとえトラブルにあっても、乗り越える力を集めることができるのです」と述べています。

渡部昇一氏もいっていますが、一つの分野をきわめた人物が、ほかの分野をやると、意外とその分野でも成功することが多いようです。糸川英夫氏などはマルチな才能がありましたが、もともとは、航空工学の専門家でした。

占いや習い事もそうなのです。一つの得意な占術や習い事を徹底して身につけたら、そのエネルギーを他の占いに向けると、他の占いも攻略できるものです。

このように得意なものが一つでもできると、次第に他のものも頑張れる気持ちがでてきて、苦手なものでもやれるようになるものです。このように、得意なものから楽しさを味わい、そして運気をよくするというのはとても大切なことです。運が悪くなったり、ツキがないと感じたりしたら、短所にばかり目を向けないで、長所にも目を向け、得意なものや趣味をやるようにしてみましょう。この方針は、「現代の孔子」と呼ばれるドラッカーも述べています。神経症なども短所に目を向けすぎるために起きる現象で、悪化すると旧型うつを発症します。長所や得意分野を伸ばしたり、成功体験をするのが一番です。

眠れる大預言者エドガー・ケーシー」は、「長所は伸ばし、短所は浄化する」と述べています。短所は克服できるものではないので、浄化というのはよい言葉ですね。

 

Ⅳ(人間性が高まるとどうなるか)

1エゴが減ってくる。

2嫌いなものが減ってくる。

3とらわれ・こだわりが減ってくる。

4約束が守れるようになる。

5責任感が強くなる。

6開けっ広げになる。

 

Ⅴ(ビジネスは守破離

  守

業界の先輩を真似すること

  破

いろいろなことに挑戦すること

  離

自分独自のものを身につけること

 

Ⅵ(吉田松陰とクラーク博士の教育)

吉田松陰とクラーク博士は、多くの人材を短期間で育てたことで有名です。では、どのような教育を行ってきたのでしょうか。船井幸雄氏が『一粒の人生論』(ダイヤモンド社)の中でその特徴を述べていますので、まとめてみます。

○長所を生かす

○たくさん勉強する

○プラス発想をする

○人や物を大事にする

○良心に従う

○勇気をもって行動する

○即時処理をする

○約束を守る

○いじめたり差別したりしない

○自由を大切にする

○よく働きできるだけ与える

これらのことができたときには、褒めるようにしていたそうです。それにより、これらのことが習慣となったようです。そして、弟子は人間的にも大きくなったようです。運命学でも、これらの習慣をもっていると、すばらしい運命が切り開かれていきますし、手相・人相も輝きを増します。