江戸前寿司

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江戸前寿司🍣とはなんでしょうか?

 

江戸湾の魚🐟で、赤シャリ、四カンという定義がされていますが、これは関東大震災で変わってしまったようです。

 

手間暇という意味では、小肌、穴子、車海老が寿司職人の腕の見せどころですね。

 

あと刺身のときの山葵も上等なので、醤油に混ぜないで、その都度、刺身に山葵をつけるのが江戸前の楽しみ方でしょうね。

話しことばと書きことば

「話しことば」と「書きことば」

 

1.「話しことば」と「書きことば」

a.話しことば・・口語体。音声言語。アクセント・イントネーション。

話しことば的・・インタビューの記事・エッセイ・広告など。

b.書きことば・・文章体。文字言語。表記や符号。「だ・である」体。

書きことば的・・講演・演説など。

  c.「話しことば」と「書きことば」の連続性・・LINE・Chat(打ちことば)・

漫画のセリフなど

 

2.話しことばの条件

a.対人性が強い・・話し手と聞き手が物理的に同じ空間にいること。

だ・です・ます・よ・ね

b.現場性が強い・・話し手と聞き手がその場で対面していること。

または対面している意識が強いこと。

主語の省略・指示語の多用。

c.即時性が強い・・話し手と聞き手があらかじめ予測できず、相手とのやり取りの中で談話が進んでいくこと。乱れた文・フィラー。

d.音声情報・線条性・・一回性のもので再現や取り消しができないこと。

e.規範性が弱い・・んだ・じゃ・のだ・では・れる・られる

 

3.話しことばの特徴・・『日本語学キーワード事典』(朝倉書店)・・

1.アクセント・イントネーション・プロミネンス・ポーズが大きな役割を果たす。

2.意思伝達に際し、声のトーン・話し手の表情・場面の雰囲気など非言語要素に大

きく依存する。

3.「ええと」「その」などのつなぎ言葉(フィラー)が多い。一般に、会話のとぎれる時間が生まれたとき、相手とコミュニケーションをとる意志のあることを示すために用いられる。

4.語彙は日常生活になじみのあるものが選択され、難解な印象を与える語は敬遠さ

れる。

5.相手との人間関係に応じて、俗語や位相語(職業や隠語など)が使用される。女

性語も登場する。

6.語彙に縮約形が用いられる(してしまって→しちゃって等)。相手との人間関係に応じて、使用頻度が左右される。

7.格助詞のガ格、ヲ格の省略が多く見られる。

8.話し手の主観を示す感動詞・終助詞・間投助詞が多用される。

9.文構造が比較的単純である。一つ一つの文が短い傾向がある。ただし、一文の長さは短いとは限らず、接続助詞の多様などで冗長になることもある。

10.文の成分の順序が変更されることが多く、省略や倒置表現、文法的に不整合な文

も見られる。

11.相手との人間関係に応じた待遇表現が選択される。

12.談話展開に論理性を欠くことが多い。同じ文の反復や言い換えなどが頻繁に起こ

る。

13.言いさしの文で終わることが多い。

14.動詞の連用形で文を中止することはほとんどない。

15.指示語を用いることが多い。

16.敬語がよく用いられる。

17.漢語の用いられることが少ない。

18.文語的漢文的翻訳的な要素は少ない。

 

4.「文語」と「口語」

a.文語・・『源氏物語』など平安時代に書き記された文章を基盤とするもの、あるいは漢文訓読を基盤とするもの。

b.口語・・明治時代の言文一致運動で形成されて以来、展開しているもの。

(口語文)

三遊亭円朝『牡丹燈籠』・・落語の速記

二葉亭四迷「だ調」・・『浮雲』

尾崎紅葉「である調」・・『多情多恨』

山田美妙「です調」・・『胡蝶』

嵯峨の屋おむろ「であります調」「でございます調」・・『初恋』

 cf.であるんであります(大隈重信)

 

5.口語文法

ロドリゲス(1604-1608)『日本大文典』

ブラウン(1863)『Colloquial Japanese』

ホフマン(1868)『A Japanese Grammar』

アストン(1869)『A SHORT GRAMMAR of THE Japanese Spoken Language』

チェンバレン(1888)『A HANDBOOK OF COLLOQUIAL JAPANESE』

松下大三郎(1901)『日本俗語文典』

山田孝雄(1922)『日本口語文法講義』

三尾砂(1942)『話し言葉の文法』

文科省(岩淵悦太郎執筆1944)『中等文法 口語篇』

 

6.文体の種類

a.文章様式・・漢文体・漢文訓読体・記録体・候文体・宣命体・和漢混淆文体・和文体・近代口語文など。

b.作品別・作家別

  『枕草子』と『源氏物語』・「能」(文語・悲劇)と「狂言」(口語・喜劇)

「抄物」(講義録)・『日葡辞書』(口語)

近松門左衛門(会話のセリフ)・井原西鶴(曲流文)・松尾芭蕉(雅俗折衷文)

式亭三馬(会話文)・為永春水(会話文)

谷崎潤一郎(一文が長い)・芥川龍之介・志賀直哉(一文が短い)など。

c.ジャンル別・・物語・小説・日記・手紙・新聞・公用文など。

 

(参考文献)

小池清治他(1997)『日本語学キーワード事典』朝倉書店.

日本語教育学会編(2005)『新版 日本語教育事典』大修館書店.

日本語文法学会編(2014)『日本語文法辞典』大修館書店.

  三尾砂(1942)『話し言葉の文法』くろしお出版.

 

【参考資料1】フィラー(言い淀み・埋め草・無意識の心的操作方式)・・頭の中で処理・・

1.えーと・・演算方式確保

2.あのー・・言語編集

3.そのー・・言語再編集

4.まあ・・話すことをまとめあげる

cf.大平正芳

 

【参考資料2】プレゼンテーションで参考にされる人々

キング牧師・ジョブズ・ケネディ・レーガン・オバマ

  田中角栄・中曽根康弘・小泉純一郎・孫正義

 

日本語の辞書の発達

日本語の「辞書」の発達

 

1.古辞書

室町時代の末、慶長年間(1596-1615)までのものを指すことが多い。古くは僧侶や学者が経典や漢籍を解釈したり、注記を付したりするもので、利用層も一部の知識階級に限られていたのに対して、時代が下るに従い、識字層も広がり、通俗辞書と呼ばれる庶民が利用するための辞書が多く作られるようになってきている。

(引き方)

字形から引くもの

音声から引くもの

(分類)・・漢字漢語の辞書と国語の辞書とがあるが、中国の辞書にならって三種類のものを作成してきた。

a.意義分類(辞書)・・『爾(じ)雅(が)』(紀元前100年ごろ)

b.漢字を分類・読み方・意味の説明を施す(字書)・・『説(せつ)文(もん)解(かい)字(じ)』(許慎・紀元前100年ごろ)・『康煕(こうき)字典(じてん)』(清・陳延敬)

c.漢字の字音で分類(韻書)・・『広韻』(宋・陳彭年)

 

2.時代別の代表的な古辞書

a.上代(奈良時代)の辞書

『篆隷(でんれい)万象(ばんしょう)名義(めいぎ)』空海・・『玉篇』にもとづいて反切や漢文の注を付したもの。

b.中古(平安時代)の辞書

『新撰(しんせん)字(じ)鏡(きょう)』昌住・・漢和辞典。字書。

『和名類聚抄(わめいるいじゅうしょう)』源順・・和訓を付したもの。百科事典の要素のある辞書。

『類聚名義抄(るいじゅうみょうぎしょう)』・・漢和辞典。観智院本には、和訓、声点がついており、利用

価値が高い。漢文訓読が生み出した字書。

『色葉字類抄(いろはじるいしょう)』『伊呂波字類抄(いろはじるいしょう)』・・いろは順の漢和辞典。和語にも声点が付されている。辞書。

c.中世(鎌倉時代・室町時代)の辞書

『字(じ)鏡集(きょうしゅう)』・・漢和辞典。

『聚分(しゅうぶん)韻(いん)略(りゃく)』虎関師練・・漢詩文作成のための韻書。韻書。

『明語記(みょうごき)』・・語源辞書。

『塵(ちり)袋(ぶくろ)』・・百科事典。

『下学集(かがくしゅう)』・・国語辞典。初学者を対象とした辞書。

『撮壌集(さつじょうしゅう)』飯尾永祥・・百科事典。

『倭玉篇(わごくへん)』・・漢和辞典。

『運(うん)歩(ぽ)色(いろ)葉集(はしゅう)』・・いろは順の国語辞典。

『節用集(せつようしゅう)』・・文学との関連も視野に入れた国語辞典。

『温故知新書(おんこちしんしょ)』・・五十音順の国語辞典。

『日葡(にっぽ)辞書(じしょ)』・・キリシタン資料。ポルトガル語で解釈(1603-1604)。

『落葉集(らくようしゅう)』・・キリシタン資料。漢和辞典。

d.近世(江戸時代)の辞書

『倭(わ)訓(くんの)栞(しおり)』谷川士清・・現代の国語辞典の先駆け。五十音順。古語辞典。

『雅言集覧(がげんしゅうらん)』『増補雅言集覧(ぞうほがげんしゅうらん)』石川雅望・・古語の用例集。古典を読むための国語辞典。

『俚言集覧(りげんしゅうらん)』太田全斎・・話しことばを集めた国語辞典。現代日本語の解釈。

e.近代(明治時代)以降の辞書・・1.明治維新前後から大正初年まで

近代的辞書の揺籃期

中世の遺物はなお残存する

2.第一次大戦から第二次大戦まで

大型辞書がようやく完成した時期

3.敗戦から現在まで

               現代語辞書としての学習

小型の辞書が続出した時期

①明治時代

『ことばのその』近藤真琴

『ことばのはやし』物集高見

『和英語林集成』ヘボン・・見出し語がローマ字。ヘボン式ローマ字。

『「漢英対照」いろは辞典』高橋五郎・・いろは順の横組み。

『言海』『大言海』大槻文彦・・五十音順。近代的国語辞典の元祖。

『日本大辞書』山田美妙・・アクセントを付す。口語体で解釈。

『ことばのいづみ』落合直文・・百科事典的。

『辞林』金沢庄三郎・・実用的。のちに『広辞林』へ発展。

②大正時代

『大日本国語辞典』上田万年・松井簡治

『日本外来語辞典』上田万年他

『日本古語大辞典』

③昭和時代

『大辞典』 『広辞林』

『広辞苑』(岩波書店) 『大辞林』(三省堂) 『言泉』(小学館)

『明解国語辞典』(三省堂)・・金田一京助編。

『新明解国語辞典』(三省堂) 『三省堂国語辞典』(三省堂) 

『明鏡国語辞典』(大修館書店) 『日本国語大辞典』(小学館)

 

3.現代の辞書

中学生・高校生の学習用として全訳版の古語辞典・漢和辞典が刊行されるようになった。以下に大学生・大学院生・教員・社会人向けの辞書の例を示す。

a.【国語辞典】

収録語数・・大型の国語辞典(50万語)

中型の国語辞典(24-25万語)

小型の国語辞典(7-8万語)

『日本国語大辞典』(初版・二版)小学館・・国語と古語を兼ねた最大規模の国語

辞典。50万語。

『日本国語大辞典』(精選版)小学館

『広辞苑』岩波書店・・新村出編。『辞苑』がベース。百科事典語彙+国語語彙。

20万語。

『大辞林』三省堂・・松村明編。わかりやすい説明。

『大辞泉』・・松村明編。

『言泉』(小学館)・・林大編。

『学研国語大辞典』・・池田弥三郎・金田一春彦編。

『角川国語中辞典』・・時枝誠記編。

『小学館日本語新辞典』小学館

『岩波国語辞典』岩波書店

『集英社国語辞典』集英社・・百科事典的要素。9万5千語

『旺文社国語辞典』旺文社

『新明解国語辞典』三省堂・・山田忠雄編。文明批評・

第7版以降は漢和辞典の要素を盛り込む

『三省堂国語辞典』三省堂・・見坊(けんぼう)豪(ひで)紀(とし)編。最新の現代語を盛り込む。三行説明。

『新選国語辞典』小学館

『明鏡国語辞典』大修館書店・・北原保雄編。わかりやすい説明。

『新潮現代国語辞典 現代語・古語』新潮社・・山田俊雄・築島裕編。

文学的用例。

『学研現代新国語辞典』学研

『角川必携国語辞典』角川書店・・百科事典的要素

『ベネッセ表現読解国語辞典』ベネッセコーポレーション・・多様な表現を紹介

『日本語 語感の辞典』岩波書店

『基礎日本語辞典』角川書店・・日常語。丁寧な記述。

b.【古語辞典】

 収録語数・・大型の古語辞典(10万語)

中型の古語辞典(2万3千-2万5千語)

小型の古語辞典(1万5千-1万7千語)

『時代別古語大辞典』角川書店

『角川古語大辞典』角川書店・・10万語。

『小学館古語大辞典』小学館・・5万5千語。

『新明解古語辞典』(補注版)

『岩波古語辞典』岩波書店・・通時的

『例解古語辞典』三省堂・・共時的

『新明解古語辞典』三省堂

『詳説古語辞典』三省堂

『ベネッセ古語辞典』ベネッセコーポレーション・・付録の充実

『古語林』大修館書店

『新選古語辞典』小学館

『角川必携古語辞典』角川書店

『旺文社古語辞典』旺文社

c.【漢和辞典】

 収録語数・・大型の漢和辞典(5万字)

中型の漢和辞典(2万字)

小型の漢和辞典(1万2千-1万7千字)

『大漢和辞典』大修館書店・・諸橋徹次編。最大規模の漢和辞典。

『廣漢和辞典』大修館書店

『学研漢和大字典』学研・・藤堂明保編。

『漢語林』大修館書店

『新漢和辞典』大修館書店

『新選漢和辞典』小学館

『新字源』角川書店・・古代中国人の視点での記述。

『漢字源』学研

『全訳漢辞海』三省堂・・語法説明・漢和辞典初の全訳版。

『新明解漢和辞典』三省堂

『岩波新漢語辞典』岩波書店

『字通』『字統』『字訓』平凡社・・白川静の三部作

 

4.国語辞書の必要条件-大槻文彦-

A.各語の下には発音を表記する。

B.品詞を明記する。

C.語源を説明する。

D.語の本義転義を説明する。

E.出典を掲載する。

 

5.「辞典・辞書」「事典・字書」「字典・字書」

a.辞典(ことばてん)・辞書・・近代以降。文字・言葉の解説

b.事典(ことてん)・事書・・1931(昭和6)年以降。事柄の解説。

c.字典(もじてん)・字書・・近代以前。

 

(参考文献)

赤瀬川原平(1999)『新解さんの謎』文春文庫.

飯間浩明(2013)『辞書を編む』光文社新書.

佐々木健一(2016)『辞書になった男-ケンボー先生と山田先生-』文春文庫.

サンキューたつお(2016)『国語辞典の遊び方』角川文庫.

西村亨(1995)『日本古辞書を学ぶ人のために』世界思想社.

山田忠雄(1967)『三代の辞書-国語辞書百年小史-』三省堂.

 

 

和歌のレトリック

和歌の修辞技巧(レトリック)

 

A.歌論の基本用語

a.和歌の本末・・和歌の上の句と下の句

b.腰の句・・和歌の第三句目

c.腰折れ・・下手な歌

d.首切れ・・最悪の歌(『悦(えつ)目抄(もくしょう)』)

e.おもて歌・・代表歌

f.心と詞・実と花・・内容と表現

g.五(頭)七(胸)五(腰)七七(尾)(『和歌色葉』)

h.方人(仲間・味方)・晴の歌(公での歌)

i.『万葉集』の略体歌と非略体歌

 

B.和歌の修辞技巧(レトリックの分類)・・時枝誠記の2分類(「枕詞・序詞」:「掛詞・縁語」)・・

Ⅰ【第一類】・・枕詞・序詞・・『万葉集』・・

a.枕詞

(枕詞の意味と機能)

 枕詞は、三音(例:千葉の)・四音(例:そらみつ)・五音・六音(桜(さくら)麻(あさ)の)のものなどがあるが、五音が多く口語訳はしない。下にくる特定の語を引き出す。

 「枕詞・序などは、歌の意(こころ)にあづかれることなきは、すてて訳さず、これを訳しては、事の入(いり)まじりて中々にまぎらわしければなり」(本居宣長『古今集遠鏡』例言)

1「草枕―旅」のように枕詞が受ける語を意味的に修飾する場合・・修飾型

2「梓弓―春」のように枕詞が受ける語と同音または類似音の他の語(掛詞)にかかる場合

・・掛詞型

3「父の実の―父」のように枕詞と同音または類似音をもつ語にかかる場合・・同音型

4「ささなみの―志賀」のように枕詞が地名にかかる場合・・地名型

(枕詞の位置)

第一句目

ちはやぶる神代も聞かず龍田川からくれなゐに水くくるとは(古今集・秋下・在原業平)

第三句目(半臂(はんぴ)の句と呼ばれる)

わたのはらこぎ出でてみればひさかたの雲居にまがふ沖つ白波(詞花集・雑下・藤原忠通)

b.序詞

(序詞の意味と機能)

 序詞は、契沖が「序は枕詞の長きなり」、折口信夫が「序詞のつづまったもの」と述べているように、枕詞と性質は似ているが、二句以上、または、七音以上でその場その場で臨時的に自由に創作される。土地や情景になる場所であることが一般的である。

1「の」による比喩の場合(有心の序)

あしひきの山鳥の尾のしだり尾の長々し夜をひとりかも寝む(拾遺集・恋三・柿本人麻呂)

2同音反復の場合(無心の序)

駿河なる宇津の山べのうつつにも夢にも人にあはぬなりけり(新古今集・羇旅・在原業平)

3掛詞を引き出す場合(無心の序)

風吹けば沖つ白波たつた山夜半にや君がひとり越ゆらむ(古今集・雑下・読み人知らず)

Ⅱ【第二類】・・掛詞・縁語・・『古今集』・・語の縁(「音声・・掛詞」:「意味・・縁語」)・・

a.掛詞

(掛詞の意味と機能)

 掛詞は、あることばに二つ以上の意味を持たせる技法で、地名に起こりやすい。多義性及び異質なものの結合。

1地名型

もの思ふ心の闇は暗ければ明石の浦もかひなかりけり

(後拾遺集・羇旅・藤原伊周)

人知れぬ身は急げども年を経てなど越えがたき逢坂の関

(後撰集・恋3・藤原伊尹)

2キーワード型

都をば霞とともにたちしかど秋風ぞ吹く白河の関(後拾遺集・羇旅・能因法師)

3二重文脈の「交替型」型(仮名連鎖構文・尻り取り式)

秋の野に人まつ虫の声すなり我かとゆきていざとぶらはむ(古今集・秋上・読

人知らず)

4包含型

秋霧のともに立ちいでて別れなば晴れぬ思ひに恋ひやわたらむ(古今集・離別・

平元規)

b.縁語

(縁語の意味と機能)

 縁語は、掛詞とともに用いられることが多く、掛詞の中でも「物象」と「心象」とが掛けられている場合の「物象」と結びつく。

縁語掛詞仕立て

かれはてむ後をば知らで夏深くも人の思ほゆるかな(古今集・恋四・凡河

内躬恒)

 cf.序詞・掛詞の「心物対応構造」(鈴木日出男)

Ⅲ【その他】・・体言止め・その他・・『新古今集』

a.体言止め・連体止め

 体言止め・連体止めは、体言・連体形で終止させることで、余情・余韻をもたせるための技巧である。

    「体言止め」の例

み吉野の山の白雪ふみ分けて入りにし人のおとづれもせぬ(コトヨ)(古今

集・327)

「体言止め」の例

これやこの行くも帰るも別れては知るも知らぬも逢坂の関(『後撰集』

1089)

「つつ止め」の例

君がため春の野に出でて若菜つむわが衣手に雪は降りつつ(『古今集』21)

b.本歌取り

(本歌取りの意味と機能)

 本歌取りは、以前に詠まれた、すでにある名歌・古歌を本歌として踏まえた上で、その一部分を詠みこむことによって、本歌のもつ趣向・情景・発想などを新しい歌に取り入れ、歌の内容を広く深くしようとする技巧である。本歌取りは、藤原俊成が推進したが、法則化した人物としては、藤原定家と藤原為世をあげることができる。三代集から採るのが望ましく、70から80年以内の歌からは、採らない。

制(せい)詞(し)・・歌詞の著作権 (例)雪の夕暮れ(定家)・波に離るる(家隆)・

あやめぞ薫る(良経)

1歌から取る歌詞の長さは多くても二句と三四字までである。・・量の規定

2取った歌詞は本歌と位置を変える。・・配置の規定

3歌の季節や主題を変えて詠むこと。・・主題の規定

「本歌取り」の例

み吉野の山秋風さ夜ふけてふるさと寒く衣うつなり(『新古今集』

483)・・本歌取り

み吉野の山白雪つもるらしふるさと寒くなりまさるなり(『古今集』

325)・・本歌

c.倒置法

 倒置法は、論理上の普通の語順をかえることで、強く印象づけるものである。

花の色は移りにけりないたづらにわが身世にふるながめせし間に(古今集・113)

(いたづらにわが身世にふるながめせしまに花の色は移りにけりな)

春霞かすみていにしかりがねは今ぞ鳴くなる秋ぎりの上に(古今集・210)

(春霞かすみていにしかりがねは秋ぎりの上に今ぞ鳴くなる)

d.歌枕

 歌枕は、和歌に詠まれた地名である。しかし、それだけにとどまるものではなく、他の和歌の修辞と密接な関わりをもつ。 (例)白河の関・逢坂の関

e.物名歌

 物名歌は、歌題または物名・人名を一首の中に隠して詠み込んだものが中心で、これを隠題と呼び、『古今集』巻十には、物名としてあげられている。

心から花の雫にそほちつつ憂く干ず(鶯)とのみ鳥の鳴くらむ(古今集・422)」

 なお、物名歌の中に分類される折句や沓冠については、あまりにも脈絡がなく、ある物の名称を詠み込んでいくので、形式的に過ぎているため、掛詞の一種としてはみなすことはできないであろう。

f.見立て

 見立てについては、見立てと擬人法を同一視する考え方もあれば、見立てと擬人法とを区別する考え方もあり、認定が一定していない。「AをBとしてみる」「AをBとして取り扱う」

1〈見立て〉とは、視覚的印象を中心とする知覚上の類似に基づいて、実在する事物Aを非実在Bと見なす表現である。

2自然と人事を結ぶ見立てと自然物相互の見立てとがある。

a「見立て」の例

嵐吹く三室の山のもみぢ葉は龍田の川のなりけり(『後拾遺集』366)

b「擬人法」の例

わたの原八十島かけて漕ぎ出でぬと人には告げよ海人の釣舟(『古今

集』407)

g.和歌特有の語法

「なれや」「らむ」「なくに」「を」「―を―み」「結果的表現」「連体修飾の場合」「いづくはあれど」「已然形+や」「べらなり」などが知られているが、以下のものにも注意が必要である。

1.「ぞあり」の約まった「ざり」

照る月の流るる見れば天の川出づるみなとは海にざりける(土佐日記)」

2.「けるらし」の約まった「けらし」

春過ぎて夏来にけらし白妙の衣ほすてふ天の香具山(持統天皇)

3.疑問副詞の場合は結びは連体形になるが、疑問名詞の場合には、終止形で結

ぶ。

君恋ふる涙に濡るるわが袖と秋の紅葉といづれまされ(後撰集)

4.「ミ語法」・・AをBみ(AがBなので)・・

いた岩うつ波のおのれのみくだけてものを思ふころかな(『詞華集』

211)

 

【参考】その他の修辞技巧

a.「離合」・・漢詩文・・

吹くからに秋の草木のしをるればむべ山風といふらむ(『古今集』249)

b.「折句」

らころもつつなれにしましあればるばるきぬるびをしぞおもふ(『伊勢

物語』9段)

→「かきづばた」

c.「沓冠」

くろひくちがひの糸のとにかくにくもでにものを思ふこのご(『三国伝記』)

d.「折句沓冠」

もすずしねざめのかりほたまくらもまそでもあきにへだてなきか(兼好)

→よねたまへぜにもほし(米給へ銭も欲し)

るもうしねたくわがせこはてはこずなほざりにだにしばしとひま(頓阿)

→よねはなしぜにすこし(米はなし銭少し)

e.「句割れ」

桜あさのをふの下草しげれ ただあかで別れし花のななれば(『新古今集』・185)

f.「字余りの例」・・「本居宣長の字余り法則」『字音(じおん)仮字用(かな)格(づかい)』=句中に「あいうえお」「む」がある。

わびぬれば今はた同じ難波なるみをつくしても逢はむとぞ思ふ(『後撰集』960)

今来むと言ひしばかりに長月の有明の月を待ち出でつるかな(『古今集』691)

cf.五七五七七・・第一句・第三句・第五句は字余り句(山口佳紀)

 字余りは、音声では生じない。(川上蓁)

 

(参考文献)

尼ヶ崎彬(1988)『日本のレトリック』筑摩書房.

江湖山恒明(1957)『国語表現論』牧書店.

片桐洋一(1999)『歌枕歌ことば辞典 増訂版』笠間書院.

鈴木日出男(1990)『古代和歌史論』東京大学出版会.

鈴木日出男(1999)『古代和歌の世界』ちくま新書.

山口佳紀(2008)『万葉集字余りの研究』塙書房.

渡部泰明(2018)『和歌とは何か』岩波新書.

 

「和歌・短歌」から「俳諧・俳句」へ -基礎知識-

「和歌・短歌」から「俳諧・俳句」へ

-基礎知識-

 

1.基礎知識

a和歌の種類‐『万葉集』‐

長歌・・五七・五七・五七・・・・五七七

反歌・・五七五・七七(長歌の要約・補足・感想として添えられる)

短歌・・五七五・七七

旋頭歌・・五七七・五七七

片歌・・五七七

仏足石歌・・五七五・七七・七

b正岡子規・・和歌・俳諧の革新・写生・日常性

1.『歌よみに与ふる書』

和歌から短歌へ

『古今集』から『万葉集』へ

紀貫之・藤原定家から源実朝『金槐集』へ

2.『獺祭書屋(だっさいしょおく)俳話』

俳諧から俳句(俳諧の発句)へ

芭蕉から蕪村へ

c連歌と連句

  1.有心連歌と無心連歌

2.長連歌(鎖連歌)と短連歌

5・7・5               発句・・他の句を統率。切れ字と季語の必要性

7・7                            脇句

5・7・5                      第三

7・7                            平句

5・7・5                      平句

    ・        ・

    ・        ・

    ・        ・

7・7                            挙句・揚句

3.各句の完結性(『俊頼髄脳』)・発句の独立性(『八雲御抄』)

→助詞・助動詞を「切れ字」とする考え方の成立(『連理秘抄』)

 発句切れ字十八の事(『専順法眼之詞秘之事』)

 切れ字二十二(『連歌至宝抄』)

cf.和歌の発想・・連歌

俳諧の発想・・連句

d俳句について影響を与えた評論

1.「第二芸術論」-桑原武夫-

俳句は第二芸術に過ぎない。

2.『省略の文学』-外山滋比古-

世界短詩型の文学として評価

  e.狂歌・川柳(狂句)・・近世に流行・滑稽・卑俗・人間観察

    (例)君聞かずや地獄の沙汰も金次第かせぐに追いつく貧乏なし

       役人の子はにぎにぎを能(よく)覚(おぼえ)

 

2.文法

A俳諧・俳句の修辞技巧

a.切れ字

「発句の十八の切字事」

終助詞・係助詞  助動詞  形容詞の終止形  動詞の命令形

疑問語  や・かな・けり

b.切れ字の機能・・表現者の判断・感情

句末の「切れ字」は詠嘆・・(例)かな

句中の「切れ字」は曲折・焦点・・(例)けり・や

  (例)

     しづかさや岩にしみいる蝉の声 芭蕉

     花の雲鐘は上野か浅草か 芭蕉

     吹き飛ばす石は浅間の野分かな 芭蕉

     古池や蛙飛び込む水の音 芭蕉

     五月雨の降り残してや光堂 芭蕉

     降る雪や明治は遠くなりにけり 中村草田男

c.切れ字論争

松尾芭蕉「四十八字皆切れ字なり」・・切れ字論争

石田波郷「霜柱俳句は切れ字響きけり」

(切れ字は霜柱の立てる繊細な音に匹敵する)

・・切れ字の格調

d.季語・切れ字

季重ね・切れ字重ねの禁止

『歳時記』・・旧暦(太陰暦で掲載。

新暦(太陽暦)は、旧暦(太陰暦)+1か月半。

B和歌・短歌の修辞技巧

a句読点

若山牧水・折口信夫・窪田空穂・佐々木信綱・・短歌に句読点

  (例)葛の花 踏みしだかれて、色あたらし。

     この山道を行きしひとあり 釈迢空(折口信夫)

会津八一・・ひらがなの単語分かち書きの短歌

  (例)かすがの に おしてる つき の ほがらかに 

あき の ゆふべ と なり に ける かも

石川啄木・・短歌の三行書き

  (例)東海(とうかい)の小島(こじま)の磯(いそ)の白砂(しろすな)に

     われ泣きぬれて

     蟹(かに)とたはむる

土岐善麿・・短歌のローマ字書き・短歌に句読点

  (例)りんてん機、今こそ響け。うれしくも、東京版に、

雪のふりいづ。

B主な修辞技巧

枕詞・序詞・掛詞・縁語・本歌取り・体言止め・連体止め・倒置法・

離合

 

(参考文献)

桑原武夫(1976)『第二芸術』講談社学術文庫.

小西甚一(1971)『宗祇』筑摩書房.

外山滋比古(1976)『省略の文学』中公文庫.

正岡子規(1898)『歌よみに与ふる書』(【テキストは岩波文庫版(1983)】).

山田孝雄(1943)『連歌概説』岩波書店.

 

【参考資料】  

1.和歌・俳諧の句点と句切れ

・・句点を打つ個所が句切れで、「初句切れ・二句切れ・三句切れ・四句切れ・句切れなし(全句

切れ)」がある。

  詞の調べ・・意味上の句切れ・・五七調から七五調へ

  声の調べ・・朗詠のときの第三句目の息継ぎ

(句点の位置)

1終止形の下

2係り結びの下

3命令形の下

4連体止めの下

5終助詞の下

6体言止めの下

7切れ字の下(俳諧)

花の色はうつりにけりな。いたづらにわが身世にふるながめせしまに。

(小野小町)

人はいさ心は知らず。ふるさとは花ぞ昔の香ににほひける。

(紀貫之)

古池や。蛙飛び込む水の音。(芭蕉)

雪薄し。白魚しろき事一寸。(芭蕉)

2.和歌と短歌

(古代和歌の特徴)

1枕詞・序詞・懸詞・縁語などを中心とする修飾

2五七調・七五調との違いを生み出す句切れ

3本歌取り

4体言止め・用言止めなどを中心とする結句における止め方

5うたことば(歌語)といわれる用語・・(例)鶴(たづ)・駒(こま)・

蛙(かわず)

6言語の省略と順序

(現代短歌の特徴)

1と3は、現代短歌ではあまり用いられていない。

2と4は、現代短歌ではまちまちの減少で、現代短歌としての特徴をまとめる

のが難しい。

5は、現代短歌では活発に用いられている。

6は、現代短歌では、省略されていることばの判断が難しい。