2013-09-01から1ヶ月間の記事一覧

大学で学ぶ意義

大学で学ぶメリットを考えると、次のようになります。逆に、これを身に付けないと、大学に行ってもあまり意味がないわけです。 ◯複眼的思考を身に付ける◯人間関係の機微を学ぶ ◯学校では教えてくれなかった、人生に必要なことを学ぶ ◯人間学・人生論・成功哲…

日本語受け身表現の研究(要旨)

私がこの四年ほど、研究してきたことの要旨をまとめてみました。あまり知られていませんが、私の専門は、日本語学・国語教育・日本語教育です。 第1章 古典語の構文における受身表現 ○助動詞相互承接の表は、橋本進吉(1929)か橋本進吉(1931)が先行研究と…

サンソムとジョーデンの受身記述

時代は下るが、サンソム(1928)の日本語研究も欠かすことはできない。サンソム(1928)は、いくつかの場所に分けて説明している(p132,160,259,314)。該当箇所をまとめてみると次のようになり、西洋人の日本語研究を踏まえたものとなり、英語では受動文で…

中村天風と心理学療法

よく「心理学で心をよむ」といいますね。あれは、実験心理学から導かれるもので、テレビで活躍中の植木理恵さんは、その分野の第一人者です。 さて、今回は、なぜ中村天風さんの教えを学ぶと、体と心の病に効果があるのか、心理学と神経科学から、考えてみた…

東亜高等予備学校の受身記述

松本亀次郎(1919)と松本亀次郎(1934)との中間に位置するものとして、松本亀次郎が関わったと思われる東亜高等予備学校(1927)と東亜高等予備学校(1930)の受身文について示しておく。 ○東亜高等予備学校(1927) 東亜高等予備学校(1927)では、「第三…

近代日本語教科書の受け身記述−付記−

[付記] 以下、中国人留学生向けの近代日本語教科書の受身記述を示してみる。他の近代の日本語教科書の受身記述においても、サ変動詞の未然形「せ」「さ」「し」の中で、江戸後期から明治末にかけて普及していった「さ」「し」ではなく、最も古い形である「せ…

エリクソン発達段階

エリクソンの心理社会的発達理論 エリクソン(独・1902-1994)は、社会との関係という視点を加えた「心理社会的発達理論」を提唱しました。たいへん有名なもので、8つの段階で解決する課題があるとしました。 1乳児期0-1歳 信頼・不信 母親との関係を通じて…

「る・らる(れる・られる)」の多義性と文法教育

また、この「る・らる(れる・られる)」の多義性について、自発根源・受身根源・中相・出来文などの考え方があるが、文法教育を考えたときに、日本語教育では受動態を基軸にして説明しようとすることが多く、松下大三郎(1930)はすべてを受動態で整理した…

南不二男の受け身記述

南不二男の受身記述−関与者の視点−南不二男(1993)は、教科研グループの研究を微視的な分析であるとし、構造で扱っているのが特徴である。接続助詞をもとに分類し、描叙・判断・提出・表出とした。描叙は「関与者構造」をなすものとして、その中で「使役」…

受身論争1

久野翮・黒田成幸の受身記述−受身論争1−受身文に対する生成日本文法の論争として有名なものとして、久野翮(1983・1986)と黒田成幸(1985)による論争が有名である。 久野翮(1983)は、中立受身と被害受身(間接受身)とに分け、黒田成幸(1979)の「affec…

欲求とは

生理的欲求・・身体内の臓器と関連して生じる 社会的欲求・・事物・待望・人間の力・他人の損傷・自己の損傷・他人との愛情など臓器とは直接関連のない要求をいう。心理的欲求という。 生理的欲求は、すべてホメオスタシスによるバランス調整によって起こる。

高橋太郎の受身記述

高橋太郎の受身記述高橋太郎(1985)は、ヴォイスを「たちば」として、「能動態(active voice,はたらきかけのたちば)」「受動態(passive voice,うけみのたちば)」「使役態(causative voice,つかいだてのたちば)」とし、他に「相互態」「再帰態」なども…

細江逸記の受身記述

細江逸記の受身記述−比較言語学と山田孝雄の影響−細江逸記(1928)は、英語やドイツ語とは異なることが一般に論じられているが、比較研究の立場からすると、印欧語族内でも異なって用いられていることを指摘し、「所相」は西欧諸国でも日常会話で用いられて…

岡本千万太郎と阿部正直の受身記述

「る・らる(れる・られる)」の多義性についても、できるだけ少なくしたほうがよいとする立場から、岡本千万太郎(1942)では、教授法の立場から自発の意味を受身に含ませて、可能や尊敬以前に、まず受身を理解させることの必要性を以下のように述べている…

松尾捨治郎の受身の論

短期間ではあるが、日本語教育の経験のある松尾捨治郎(1936)では、第6章の第8節「相の助動詞(受身 可能 使役)」で、「相」を「すがた」とし、受身の3要素として「動作を受けるもの」「動作をするもの」「動作」をあげている。松尾捨治郎(1936)では、以…

三矢重松の受身の論と日本語教育

関正昭(1997b)では、三矢重松の文法論にも、日本語教育実践経験の影響と見られる点があると指摘している。三矢重松(1908)では、「第7章 動詞の性相」の「第2節 被役相」の箇所で「非情の受身」「自動詞の受身」「受與」、「第5節 被能使の重用」の箇所で…

湯澤幸吉郎の受け身動詞の分類

○五段活用の自動詞となったもの 抱かる(抱かれる) 授かる(授けられる) おそわる(教えられる) 助かる(助けられる) 仰せ付かる(仰せ付けられる) 言いつかる(言いつけられる) ゆだる(ゆでられる) かぶさる(かぶせられる) ○下一段活用の自動詞と…

湯澤幸吉郎の受身記述

国際文化振興会(1944)『日本語表現文典』の受身記述この日本語テキストは、序文に湯沢幸吉郎によって主に書かれた口語テキストであることが示されている。林四郎(1960)では、以下のように高く評価している(注2)。文表現の意図によって、日本語の「言い…

基本文型の第一開花期の教科書

1岡本千万太郎(1940)「基礎文型の研究」『国語教育』 2(財)青年文化協会(1942)『日本語練習用 日本語基本文型』国語文化研究所[保科孝一、今泉忠義、大西雅雄、黒野政市、輿水実の共同研究の成果] 3国際文化振興会(1944)『日本語表現文典』国際文化…