2013-08-01から1ヶ月間の記事一覧

日本語表現文典の受身記述

○国際文化振興会(1944)『日本語表現文典』の受身記述 この日本語テキストは、序文に湯沢幸吉郎によって主に書かれた口語テキストであることが示されている。 このテキストでは、第十八章で「受身の意を表す言ひ方」で扱われている。この章では、「他から動…

辞書信奉者の注意点

時々、私の講座で「辞書にはこう書いてある」ともってくる方がいます。辞書が全部正しいと思っているのでしょうか?以下に注意点を書きます。ただの権威主義のマニュアル人間に見えます。 ○『新明解国語辞典』『広辞苑』などは、偏った主観的な記述がみられ…

ことわざ二つ

冬来たりなば春遠からじ 読み(ひらがな) ふゆきたりなば はるとおからじ。 意味 今は不幸であるけれど、それを耐え忍べば、やがて幸せは、きっとやってくる、ということのたとえ。 解説 このことわざは、イギリスの詩人、シェリーという人の「西風に寄せる…

受け身の理論

受身文の分類と理論−松下文法を中心に− 現在の受身文の分類研究において果たした松下大三郎の業績は、先行研究でも必ず引用されるほどである。松下大三郎を嚆矢とした現代日本語の受身文の理論的研究を本章では概観し、松下大三郎の受身の論の中には、現在の…

負け惜しみの用法

軍記物語において、意味的には受身であり、「る」「らる」を使うべき箇所に、「す」「さす」が使われている箇所が目につく。例えば、以下のような例である。 ○太田太郎我身手おひ、家子郎等おほく討たせ、馬の腹射させて引き退く。『平家物語』 このような場…

受け身、自発、出来文

「る・らる」の自発根源説と受身根源説「る・らる」の意味展開には二説ある。すなわち、 ○受身→自発(自然勢)→可能(能力)→尊敬(敬語) ○自発(自然的実現・勢相)→受身(所相)・可能・尊敬(敬相) という、「受身根源説」と「自発根源説」である。 自…

古今和歌集の受身表現

『古今和歌集』 和歌における受身の例文として、次の例がよくあげられる。・・・今は野山し近ければ春は霞にたなびかれ夏は空蝉なきくらし秋は時雨に袖を貸し冬は霜にぞせめらるるかかるわびしき身ながらに・・・『古今和歌集』巻19・1003・壬生忠岑これは受…

国際化の名前

欧米でも名前の研究が盛んに行われていて、名前の心理学的研究も行われているそうです。マロリー・ウォーバー(イギリスの心理学者)は教育心理学の立場から、たいへん珍しい名前と一般的な名前とでの学園での満足度の調査を行いました。それによると、珍し…