2018-01-01から1年間の記事一覧

辞書の発達

辞書の発達1.古辞書 室町時代の末、慶長年間(1596−1615)までのものを指すことが多い。古くは僧侶や学者が経典や漢籍を解釈したり、注記を付したりするもので、利用層も一部の知識階級に限られていたのに対して、時代が下るに従い、識字層も広がり、通俗辞…

代表的な古辞書

時代別の代表的な古辞書上代の辞書 『篆隷万象名義』空海・・『玉篇』にもとづいて反切や漢文の注を付したもの。中古の辞書 『新撰字鏡』昌住・・漢和辞典b 『和名類聚抄』源順・・和訓を付したものa 『類聚名義抄』・・漢和辞典。観智院本には、和訓、声点…

ことばー男女差ー

ことばの男女差1.日常会話での男女差のことばの傾向と特徴 a.男性的な表現 断定や命令を含み、主張・説得をするための表現を多く持つ。 b.女性的な表現 断定を避け、命令的でなく、自分の考えを相手に押し付けないで言い方をする。2.男女差の事例 a.相手に何…

ビジネス文書と日本語表現

ビジネス文書と日本語表現1.ビジネス文書の種類 「社内文書」と「社外文書」・・尊敬語・謙譲語・丁寧語2.ビジネス文書で好まれる表現 a.わかりやすい表現 b.一文は20文字から60文字 c.結論を先に書き、その後、説明・解説・意見・感想などを書く。Cf.アカデ…

小論文資料

環境倫理学 自然の生存権・・人間優先主義の否定 世代間倫理・・地球環境は未来の子孫から借りている 地球全体主義・・利己的行動は許されない・地球は運命共同体子どもと教育 〇未完成な大人 〇独自の世界を持った存在 子ども・・近代家族の出現とともに成…

ヴォイス

ヴォイス 接辞の付加に伴って補足語の格が規則的に変更する現象にかかわる文法形式を「ヴォイス」という。代表的なものとして、受身表現と使役表現とがある。 (例) 子供を叱る。→子供が叱られる。 子供が寝る。→子供を寝させる。1能動態・・動作主を主語に…

日本語の基本文型

日本語の基本文型 1.日本語の構造・・述語中心 a.学校文法・・主語と述語に修飾語を加える。 (例) 太郎が 食堂で 友達と そばを 食べた。 主語 修飾語 修飾語 修飾語 述語 b.日本語記述文法・・述語を中心に複数の成分から成立すると考える。 (例) 太郎…

論語の名句

【『論語』の名句】 加地伸行(二〇一五)『論語のこころ』講談社学術文庫一 子曰く、辞は達するのみ。 老先生(孔子)の教え。文章を書くなら、達意であれ。二 子曰く、巧言令色、鮮(すくな)なし仁。 老先生の教え。(他人に対して人当たりよく)ことばを巧…

ユングの流れ

ユング心理学の三つの方向性1.古典派・・ユングの考えを最も忠実に継承する。心の深層で起きるイメージの変容を重視する。 (例)グリム童話「かえるの王様」 お姫様がある日、遊んでいた金色の鞠(まり)を誤って泉の中へ落した。そこへ醜いカエルが現れ、カ…

文法用語の規定

小柳智一(2014)の記述 (1)モダリティ(modality):事態の非実現性、可能性や必然性などの様相、また、そのように把握する発話者の判断の仕方を表す文法範疇。ムード(mood)はそれを表す文法形式。 (2)テンポラリティ(temporality):現在・過去・未来…

現代日本語表現の参考資料

現代日本語表現の参考資料一 接続語一覧順接 順接 そして すると 因果 したがって だから そこで そうなると ゆえに (前が原因で後ろが結果) 逆接 しかし けれども だが かえって (後ろに筆者の主張) 補足・説明 もっとも ただし なお (前に筆者の主張…

古文・漢文・現代文の予備校テキストのやり方

古典(古文・漢文)の学び方・考え方1 予習・読解問題の解き方・・何も見ないで自力でとく 1.前書き・注・設問に軽く目を通す。 2.口語訳しないで、本文を読む。 3.解けそうな問題を解く。 4.本文と設問とを交互に対照させて読解しながら、残りの設問を解く…

テンス・アスペクト論と日本語教育

第24回國學院大學日本語教育研究会 発表資料 2018年7月21日(土)テンス・アスペクト論と日本語教育國學院大學兼任講師 大東文化大学非常勤講師 岡田 誠はじめに言語学・日本語学・日本語教育において、重要な概念として、「テンス・アスペクト」という概念…

日本語教育でのテンス・アスペクトの定義

a小泉保(1993)『日本語教師のための言語学入門』pp.118−130 文法的カテゴリーの中の動詞関係のカテゴリーで立項 時制・・話し手がある発話をなしている時、すなわち言語伝達を行っていると きを「発話の現在」と呼ぶ。・・〈中略〉・・時制は、発話の現在…

慣用句など

省略・繰り返し・語順転換・縮約 1.省略 文脈から予測できたり、一度話題になった要素は、省略されることが多い。省略される要素は、主題、補足語、述語、助詞、主節など多岐にわたる。 (例) 鯨は魚ではない。(鯨は)哺乳類だ。(主題の省略) 太郎は(ど…

名詞句の構造

名詞句の構造富士谷成章『あゆひ抄』 「名をもて物をことわり、装(よそひ)をもて事を定め、挿頭(かざし)・脚結(あゆひ)をもて言葉を助く」 →文の中心が、ものをあらわす「名」(名詞)と「装」(述語)で構成されるという見方。名詞句の構造 名詞を中心とし…

「は」「が」

主語と主題妹は怪我をしたので、仕事を休みます。 →怪我をしたのも、仕事を休んだのも妹。 「は」は文の最後までをスコープ(支配域)とする機能がある。 妹が怪我をしたので、仕事を休みます。 →怪我をしたのは妹だが、仕事を休むのは私(発話主体)。 「が…

疑問と否定

疑問と否定の表現疑問表現 (基本的性格) 話し手が相手に未知の部分の情報を求めたり、自分自身にといかけたりする表現である。 1真偽疑問文 (例)昨日、花子に会いましたか。 2疑問語疑問文 (例)昨日、誰に会ったのですか。 3選択疑問文 (例)文法は、…

助詞

助詞(基本的性格) 名詞に接続して補足語や主題を作る働きをするもの、語と語、節と節を接続する働きをするもの。1.格助詞 補足語が述語に対してどのような関係にあるかを表す助詞。 「が・を・に・から・と・で・へ・まで・より」など。 (例)鈴木さんが…

助動詞

助動詞(基本的性格) 「動詞・形容詞・名詞+判定詞」述語の基本形、タ形、連体形に接続して複雑な述語を作る語。ムード・モダリティ表現として用いられる。 a「助動詞の種類」 1形式名詞を要素として含むもの すべての述語に接続するもの のだ・わけだ・は…

副用語

副用語副用語・・自立語で活用変化がなく、一般に主語や述語とはならず、副次的かつ依存的な一つの職能に限定されるもので、副詞・連体詞・接続詞・感動詞のことである。1副詞 (基本的性格) 述語の修飾語として働くのを原則とする語。 a「状態の副詞」 ゆ…

名詞

名詞 1基本的性格 名詞は文の主題になったり、文の補足語になったり、文の述語になったりする。2名詞の意味範疇 人名詞・・ひと・誰 物名詞・・もの・どれ・何 事態名詞・・こと・どれ・何 場所名詞・・ところ・どこ 方向名詞・・ほう・どちら 時間名詞・・…

形容詞

形容詞・形容動詞1基本的性格 形容詞は、何らかの状態を表し、述語の働きと名詞の修飾語の働きをする。また、文中での働きの違いに応じて活用する。 (例)この地域は寒い。 寒い地域2属性形容詞と感情形容詞−意味的分類− a属性形容詞・・人やものの属性(性…

細江逸記のヴォイス論再考

全国大学国語国文学会発表資料(2018.6.3於二松學舍大學)細江逸記のヴォイス論再考國學院大學兼任講師・大東文化大学非常勤講師 岡田 誠 序 細江逸記は、英語学の泰斗として知られているが、国語学にも多大な影響を与え、戦前・戦後の国語学の論文等では「…

動詞

動詞1.動詞の基本的性格 動詞の基本的性格は、単独で述語の働きをし、文中での働きの違いに応じて活用することである。2.動詞の分類 a動態動詞・状態動詞 動態動詞・・動きを表す (例)歩く・倒れる・倒す・話す 状態動詞・・状態を表す (例)ある・いる・…

文の組み立てと品詞

文の組み立てと品詞と語の構造1.文と語 a文・・言語表現のもっとも基本的な単位。あるまとまった内容を持ち、形の上で完結した単位。表記において句点が施される。 b文章・談話・・複数の文の有機的な組み合わせによって構成される。 c語・・文を構成する要…

主な文芸思潮

文芸思潮写実主義・・勧善懲悪の否定 坪内逍遥・二葉亭四迷 擬古典主義・・古典回帰・硯友社・「我楽多文庫」 尾崎紅葉・幸田露伴 浪漫主義・・自我の確立・「文学界」 北村透谷・与謝野晶子 自然主義・・実証的・科学的・私小説へ・「早稲田文学」 島崎藤村…

小西甚一の古文学習三部作の価値−佐伯文法の影響を中心に−

2018年3月24日(土) 国語教育史学会・第60回例会 於早稲田大学・発表資料小西甚一の古文学習参考書三部作の価値 −佐伯文法の影響を中心に− 國學院大學兼任講師 大東文化大學非常勤講師 岡田 誠 序小西甚一は、日本文学研究社として数多くの分野で業績を残し…

現代文学

〇現代文学 ロマン・ロラン『ジャン・クリストフ』 プルースト『失われた時を求めて』 ジイド『贋金づくり』 マルロー『希望』 サルトル『嘔吐』 ジョイス『ユリシーズ』 ウルフ『灯台へ』 ロレンス『チャタレー夫人の恋人』 トーマス・マン『魔の山』 カフ…

ドイツ文学・ロシア文学・アメリカ文学

〇ドイツ文学 ゲーテ『ウィルヘルム・マイステル』 ノヴァーリス『青い花』 ホフマン『悪魔の霊液』 〇ロシア文学 プーシュキン『ベールキン物語』 ゴーゴリー『死せる魂』 トルストイ『戦争と平和』 ツルゲーネフ『煙』 ドフトエフスキー『カラマーゾフの兄…