2013-01-01から1年間の記事一覧

年内はブログを休みます

現在、私の学術活動の関係の論文の〆切原稿に追われ、ブログ更新ができない状態ですので、年内はブログをお休みします。 また、年明けに再開します。有料メルマガは、いつものとおり、土曜日に発行します。

「ている」「てある」

「ています」 物事態の変化を表す自動詞が使われる 物自体の変化の結果としての現在の様子を見たままに言い表す 行為をした人(動作主)の含意がなく、出来事は自然に起こったように表現されている。→明確な目的や理由を示す節がある場合には、使えない。 教…

鈴木忍の受身記述

鈴木忍の受身記述2.1鈴木忍の日本語教科書『NIHONGO NO HANASHIKATA』の受身記述植民地支配の基本文型中心の日本語教育文法を、国際学友会の鈴木忍は継承・発展させ、現在の日本語教育文法に大きな影響を与えている。河路由佳(2009a・2009b・2011)の研究に…

言語と思考

条件づけ ○古典的条件づけ・・パブロフ (例)犬にエサを与えると同時に、メトロノームを聞かせていると、やがてメトロノームの音だけで唾を出すようになる。 ○道具的(オペラント)条件づけ・・スキナー (例)ネズミがレバーを押すとエサが出るようにした…

和歌と短歌

和歌・短歌の捉え方 本稿では、韻文の代表である和歌・短歌の説明方法について、外国人向けの和歌・短歌について扱ったもの、国語便覧や国語教科書での和歌・短歌の取り扱い、日本語学者の和歌・短歌の説明を概観することで、日本語教育・国語教育・日本語学…

基本文型と受身文

近代における日本語教科書の受身文4 −基本文型中心の日本語教科書− 序本章では、基本文型の日本語教科書における受身文について扱ってみる。基本文型中心の日本語教科書は、主に植民地支配で用いられている(注1)。 基本文型とはどのようなものかについては…

真言

密教の開運法 「役行者(役小角)」、「空海」という日本の密教には、仏教を土台として陰陽道や道教を付加しています。この開運法は、現在にも受け継がれています。密教の「護摩焚き」は一般には難しいのですが、「霊符」や「真言(マントラ)」などは一般の…

悩みの解消法について考える

悩みの解消方法について考える―自力編 誰もが悩むことがあります。ぼんやりとしたものから、深刻なものまでいろいろとあります。以下、私が行ってきたものを紹介しておきます。 ○セルフ・カウンセリングを行う。 自分の状態を紙に書き出すことで、冷静になれ…

経済小説の効用

現代の経済小説ベスト5 経済小説が、経済学の生きた教材になることが指摘されています。専門書よりもわかりやすく理解できるということで、たいへん利用価値があることが指摘されています。元高校教員で経済学の雑誌の編集も手掛けた佐高信は、『経済小説の…

悩みの解消法

悩みの解消方法について考える―自力編 誰もが悩むことがあります。ぼんやりとしたものから、深刻なものまでいろいろとあります。以下、私が行ってきたものを紹介しておきます。 ○セルフ・カウンセリングを行う。 自分の状態を紙に書き出すことで、冷静になれ…

ゲシュタルト心理学

ゲシュタルト心理学 ゲシュタルト・・全体的な構造 ゲシュタルト心理学・・ヴェルトハイマーが提唱。近接の要因・類洞の要因・閉合の要因・よい連続の要因などの法則を発見した。ゲシュタルト心理学とは、人間の心は、個々の要素ではなく、全体としての特長…

業績目録

最近、業績目録の提出を求められることが多くなりました。 時代が、業績が重要であることを示しているのでしょうね。 資格などは、多くあったほうがいいようです。資格や業績がないと、 評価が難しいですから、若い世代ほど資格や業績はあったほうがいいです…

脳の構造

脳の構造 脳幹・・心臓の動きや呼吸など、自律機能をコントロールし、生命活動を無意識のうちに維持している。間脳、中脳、橋、延髄なら成り立つ。 大脳・・左右二つの半球に分かれ、右半球は左半身、左半球は右半身の感覚や運動をコントロールする。大脳の…

二つの神経

二つの神経 末梢神経系・・感覚刺激などをキャッチして中枢神経に伝える。また、中枢神経から送られてきた運動の信号を各所に伝える。 中枢神経・・脳と脊髄からなる。「脳」は、末梢神経から送られてくる刺激を情報処理して感覚を生み出し、全身へ指令を出…

心の機能

心の機能 感覚・・目や耳などの感覚器官からの情報が脳に伝えられ、感じること。キャッチする働き。 知覚・・脳に届いた情報から、形や大きさなどの情報を引き出して物事を認識すること。キャッチした情報を認識する働き。知覚ができるようになった刺激量を…

受身表現と日本国憲法

受身表現からみた日本国憲法 はじめに本稿では、フィロロジーの立場から「日本国憲法」を受身表現から見た場合、どのような構文的・語法的特徴があり、どのような精神性が表れているのかを考察するものである。 清水康行(一九八九)では、「『日本国憲法』…

国民道徳協会の教育勅語の口語訳

国民道徳協会の訳 私は、私達の祖先が、遠大な理想のもとに、道義国家の実現をめざして、日本の国をおはじめになったものと信じます。そして、国民は忠孝両全の道を完うして、全国民が心を合せて努力した結果、今日に至るまで、美事な成果をあげて参りました…

教育勅語は問題か?

教育勅語は問題か? 教育勅語は、軍国主義を代表するものとして、GHQが廃止し、日教組も目の敵にしていますね。しかし、その文章に問題はあるでしょうか?私の目には、宗教と切り離した道徳を説いたものに見えます。現在行われている、よくわからない道徳…

モダリティ論争について

[付記] モダリティについては、諸説ある。英語の場合には、must・may・canなどの法助動詞の表す意味をモダリティとするが、日本語の場合には規定が定まっていない。一般的には、ムードやモダリティ論争は、陳述論争(山田孝雄・時枝誠記・金田一春彦・芳賀綏…

19世紀のドイツの心の科学の取り組み

19世紀ドイツでの心の科学の取り組み フェヒナー(物理学者)・・「フェヒナーの法則」(心理的な感覚量は物理的な刺激の対数に比例する) ウェーバー(物理学者)・・「ウェーバーの法則」(識別できる重さの比は100対102で一定する)、精神物理学を提唱。 …

こころの研究

心理学以前の「こころ」の研究 心理学は、「こころの科学」で、19世紀末に学問として成立しました。しかし、それ以前にも哲学者を中心に心をめぐる探求は行われていました。以下にあげてみます。 プラトン・・世界初の心理学書『霊魂論』を執筆。人間は霊魂…

東亜高等予備学校『日本語のはじめ』の受身表現

○東亜高等予備学校『日本語のはじめ』(1932) 東亜高等予備学校(1932)の33課で、簡単な会話文例を並べ、問答形式で受身文を扱っている。また、受身の例文を主に示した上で、可能と尊敬の例文を示している。以下、文例である。 号外ハ 何デスカ。 人ヲ 殺…

大学で学ぶ意義

大学で学ぶメリットを考えると、次のようになります。逆に、これを身に付けないと、大学に行ってもあまり意味がないわけです。 ◯複眼的思考を身に付ける◯人間関係の機微を学ぶ ◯学校では教えてくれなかった、人生に必要なことを学ぶ ◯人間学・人生論・成功哲…

日本語受け身表現の研究(要旨)

私がこの四年ほど、研究してきたことの要旨をまとめてみました。あまり知られていませんが、私の専門は、日本語学・国語教育・日本語教育です。 第1章 古典語の構文における受身表現 ○助動詞相互承接の表は、橋本進吉(1929)か橋本進吉(1931)が先行研究と…

サンソムとジョーデンの受身記述

時代は下るが、サンソム(1928)の日本語研究も欠かすことはできない。サンソム(1928)は、いくつかの場所に分けて説明している(p132,160,259,314)。該当箇所をまとめてみると次のようになり、西洋人の日本語研究を踏まえたものとなり、英語では受動文で…

中村天風と心理学療法

よく「心理学で心をよむ」といいますね。あれは、実験心理学から導かれるもので、テレビで活躍中の植木理恵さんは、その分野の第一人者です。 さて、今回は、なぜ中村天風さんの教えを学ぶと、体と心の病に効果があるのか、心理学と神経科学から、考えてみた…

東亜高等予備学校の受身記述

松本亀次郎(1919)と松本亀次郎(1934)との中間に位置するものとして、松本亀次郎が関わったと思われる東亜高等予備学校(1927)と東亜高等予備学校(1930)の受身文について示しておく。 ○東亜高等予備学校(1927) 東亜高等予備学校(1927)では、「第三…

近代日本語教科書の受け身記述−付記−

[付記] 以下、中国人留学生向けの近代日本語教科書の受身記述を示してみる。他の近代の日本語教科書の受身記述においても、サ変動詞の未然形「せ」「さ」「し」の中で、江戸後期から明治末にかけて普及していった「さ」「し」ではなく、最も古い形である「せ…

エリクソン発達段階

エリクソンの心理社会的発達理論 エリクソン(独・1902-1994)は、社会との関係という視点を加えた「心理社会的発達理論」を提唱しました。たいへん有名なもので、8つの段階で解決する課題があるとしました。 1乳児期0-1歳 信頼・不信 母親との関係を通じて…

「る・らる(れる・られる)」の多義性と文法教育

また、この「る・らる(れる・られる)」の多義性について、自発根源・受身根源・中相・出来文などの考え方があるが、文法教育を考えたときに、日本語教育では受動態を基軸にして説明しようとすることが多く、松下大三郎(1930)はすべてを受動態で整理した…