現代文の参考書の歴史(1)

入試の現代文に取り組んだ最初の本格的な参考書としては、高田瑞穂(近代文学専攻で、当時は成城大学教授)の書いた『新釈現代文』(新塔社)でした。この本はロングセラーとして長く入試現代文のバイブルとして読まれていました。特徴としては、第一に入試問題を実例として用い、記述式を中心に模範解答を示したことがあげられます。第二に「近代」というものを意識したことにあります。現代の入試評論は、「近代」が大きなテーマとなっていますが、そのことをいち早く取り入れていたことがあげられます。この本は、現代では入手が難しい状況にあります。出版社が潰れてしまったからです。収録されている入試問題は古いのですが、後半の近代についての用語解説の箇所は、今でも古さを感じさせない内容となっています。