食・農・環境の望ましいこれからのあり方

 データを整理していたら、昔、書いたレポートが出てきました。とりあえず、掲載してみます。小論文のテーマになりそうな内容です。


○食・農・環境の望ましいこれからのあり方
 「食」は、人間が生きていく上で、根本的なものである。外食が増え、孤食が増えている子どもも多い。また、先進国での家畜飼料用に用いている穀物の量の多さも問題である。その分だけ、途上国を飢えさせていることにつながるからである。それに伴い、「農」は近代以降集約化され、専門化・連作化・化学化・機械化・施設化し生産効率を拡大してきたが、世界人口も60億人に達し支えることが難しくなってきた。レスターブラウンが「貧しさゆえの環境破壊」と述べたように、特に東南アジアの途上国では、耕地面積拡大のための森林伐採による農地化によって、温暖化・砂漠化などが進行してしまっている。
 日本の場合、日本の自給率の低さに問題がある。日本は飽食といわれているものの、戦後は自給率が下がり、現在の日本では、「農産物カロリー自給率40%・木材自給率20%・水産物自給率60%」という数字は、輸入に頼っており、自然資源を途上国から搾取していることにほかならない。特に農産物の自給率は、先進国の中でも低い自給率の数字を示しており、戦後、自給率を回復させたドイツと対照的である。日本では、米・野菜・鶏卵ぐらいしか自給できておらず、食糧危機に対処できないことや輸入している食糧の残留農薬やポストハーベストなどの問題がある。それぞれの国での、食料・材木などの自給自足を心がける必要がある。また、日本では絶滅してしまったトキの例や、熊や猪の被害を受ける農家の例から、自然との共生ということが必要である。これらはまさに、近代が引き起こした問題点である。その意味で、今こそ、伝統的に東洋的で調和的な自然との共生を歩む方法、つまり生物と環境の共生システムを考えることが必要である。この意味で、ダーウィンの「自然淘汰」による進化論ではなく、「同位社会という全体社会の中で相互に補い、棲み分けながら共存している」という今西錦司の考え方は示唆的である。