受身動詞と使役動詞

今回は、使役動詞と使役動詞について扱ってみます。


受身動詞と使役動詞

自動詞と他動詞によって表される意味として、「受身」と「使役」とがある。例えば、
○その学生は警察につかまった。
○子どもは母親からお使いを言いつかる。
○家が土砂で埋まる。
○彼は奥義を授かる。
のような例は、一語として扱われている自動詞であるが、意味としては何らかの影響を受ける受身文である。また、
○私は彼を慰めた。
○子どもをバスから降ろす。
○山田が鉄の棒を曲げる。
○部長は人を動かすのが得意だ。
のように、一語として扱われている他動詞であるが、これらは何かをさせる使役の意味を表しているものもある。
今泉忠義・宮地幸一(1950)では、佐久間鼎(1983)を参照にしながら、受身の意味を持つ語を、自他の対応の視点から表として次のようにまとめている。

掛ける 掛かる 漬ける 漬かる 言い付ける 言い付かる
儲ける 儲かる 助ける 助かる 預ける 預かる
はだける はだかる 授ける 授かる 見つける 見つかる
載つける 載つかる 負ける 負かる 受ける 受かる
上げる 上がる 下げる 下がる 曲げる 曲がる
拡げる 拡がる 転げる 転がる 当てる 当たる
茹でる 茹る 決める 決まる 縮める 縮まる
迫める 迫る 溜める 溜まる 染める 染まる
止める 止まる 留める 留まる 詰める 詰まる
嵌める 嵌まる 埋める 埋まる 始める 始まる
固める 固まる 広める 広まる 高める 高まる
集める 集まる 勤める 勤まる 挿す 挿さる
暖める 暖まる ぬくめる ぬくまる 重ねる 重なる
並べる 並ばる 合せる 合さる 寄せる 寄さる
冠せる 冠さる 混ぜる 混ざる 植ゑる 植わる
据ゑる 据わる 添える 添わる 代へる 代わる
教える 教わる 備える 備わる 加へる 加はる
終へる 終はる 慰める 慰まる 求める 求まる
省く 省かる 明ける 明かる 建てる 建たる
抜く 抜かる


参考文献
今泉忠義・宮地幸一(1950)「受身の表現」『現代国語法・四』有精堂
佐久間鼎(1983)『現代日本語の表現と語法』くろしお出版