ピタゴラスの占い
ピタゴラスについて
社会改革集団の頭領(今でいう「宗教団体のリーダー」)でもあったピタゴラス(紀元前580−前500ごろ)は、ミレトスに近いサモス島の出身で、タレスに学んだのち、各地へ留学し、南イタリアで宗教団体も兼ねた学校を開きました。その弟子たちはピタゴラス学派とも、ピタゴラス教団ともいわれています。現在ではピタゴラスは、「三平方の定理」などで数学者として知られていますが、実が哲学者です。
ピタゴラスは「万物の根源(アルケー)は数である」と述べました。万物の根源を「数」に見出すことで、この世に存在するものを重さ・面積・長さ・容積で計測して数字で置き換えることを可能にしました。ピタゴラスの考えによると、宇宙はコスモス(秩序・調和)であり、宇宙には善と悪との要素があり、規則性・秩序が保たれているものが善、そして、それらが乱れているものが悪です。これらはすべて、規則性の考察手段である数学(特に幾何学)・天文学・音楽で理解でき、規則性や秩序(ロゴス)を学んで善を把握すれば、忘れられていた魂の調和を思い出し、魂は清められ、輪廻から解脱でき、そこでようやく我々は、魂を永遠不変の神的な世界に救い出すことができると考えました。まさに、ピタゴラスにとっての数学は、魂を浄化するための道具だったのです。つまり、ピタゴラスは、オルフェウス教の影響のもと、霊魂の不滅と輪廻転生を信じており、数によって宇宙の法則をとき、それと調和(ハルモニア)することで、魂を「肉体の牢獄」から解放するのが、究極の目的でした。それがいわば、ピタゴラス教団の教義でした。
ピタゴラスは「数秘術の父」とも呼ばれています。数秘術とは、生年月日や姓名を数字に置き換えて、決められた計算法で運命をはじきだす占いの一種です。占星術やタロット、ユダヤ教神秘主義のカバラにも影響を与えました。なお、ピタゴラスの数とは、「限定者(奇数)」「無限者(偶数)」「第三のもの(1)」を指します。つまり、ピタゴラスにとっての「1」は奇数でもあり、偶数でもある数なのです。
ピタゴラスの数命定理
ギリシアの数学者・哲学者であるピタゴラスは、「すべては数である」として、数字の持つ意味や力を追求しました。その思想が発展したものの中で、ピタゴラスの数命定理と呼ばれているものがあります。それは、生年月日を構成する数を分析して、性格・個性・素質・運命などを観る方法です。その数の意味を次のように考えました。
1言語・コミュニケーション能力
2感受性・直観力・情緒
3頭脳・思考力・分析力・記憶力
4物質性・統率力・個性・努力
5意志・調和・正義・影響力
6愛情・責任感
7犠牲的精神・精神力・試練
8現実性・事務的な処理能力・職人性
9理想・野心・探究心・教養・知性