「恩送り」について

「恩送りについて」
 「陰徳」の大切さは、清水次郎長や袁了凡が運命を変えることで示したことは有名です。「情けは人の為ならず」も、実は「情けをかけると、自分の為になる」という意味であるわけです。これも一種の陰徳です。
 江戸時代には、「恩送(おんおく)り」という思想がありました。つまり、「人に親切にすると、その相手からよいエネルギーがもらえて、親切にされた人は必ず恩返しをする。たとえ自分に戻ってこなくても、めぐりめぐってよい影響が自分にもたらされる」という思想です。人に親切にすれば、直接、恩返しをうけられる場合も多いものですが、誰かに恩を受けたら、直接返さず、第三者に返して、みんなが順番に恩を送れば、住みやすい社会ができあがり、結果的に自分や家族にも恩が返ってくるということが恩送りの根底にあったのです。職場で上司にご馳走になったら、自分が上司になったときに部下にご馳走するのは、まさにその発想です。現在の日本でも、少しは残っているようですが、住みよい社会のために見直したいものです。
 ただ、最近はうれしくもないものを送ったり、性格の悪いエゴイズムの自己陶酔の愛惜型の「悪魔の思想」の持ち主もいるので、そういうタイプの人には近づかないほうがよいでしょうね。