学習療法について

○学習療法について

最近は、脳トレが流行っていますね。実際、それなりに効果があり、音読・暗記・計算などを行うことで、活性化することが、川島隆太教授などの研究で明らかになってきました。これを、高齢者の認知症に役立てようとするのが、学習療法です。
従来のリハビリテーションは、脳のある部分が壊れてしまった時に、トレーニングを繰り返すことによって、脳のほかの領域がそれに代替して働きだすことを期待するという考え方でした。一方、学習療法では前頭前野を活性化し、その機能を向上させることで、さまざまな能力の向上を目指すことができます。失われた機能を脳の他の領域で代償させるのではなく、脳(前頭前野)の潜在能力を回復させることにより、脳の働きを好循環させていこうとするものです。学習療法の目的は、学習によって認知症の進行を予防・改善し、その人らしく生きていけるようにすることで、効果もあがっていて、福祉施設でも取り入れるところが増えているようです。
学習療法とは、「音読と計算を中心とした紙の教材(学習プリント)を使って、学習者と支援者が、コミュニケーションをとりながら行う学習」のことをいいます。もう少し詳しくいうと、「学習療法とは、音読と計算を中心とする教材を用いた学習を、学習者と支援者がコミュニケーションをとりながら行うことにより、学習者の認知機能やコミュニケーション機能、身辺自立機能などの前頭前野機能の維持・改善を図るものである。」と定義されます。超高齢社会の対策の一環として期待できそうです。