大宮貫三の受身の説明

4.大宮貫三

大宮貫三(1907)では、「被働助動詞」として扱われている。以下例文を見てみる。


    標準語
昨日私ハ彼狂人ニ打タレマシタ
標準語
人ニ打タレルノハ我慢シマスガ笑ハレルノハ堪ラナイ
打ラバ打タレルガ私ハ打チマセヌ
昨日ノ競争ハ甲様ニ勝タレマシタ
遣レバ勝タレルガ遣リマセンデシタ
主語 賓語
蛇ガ人ヲ噛ミマシタ
主語 客語
人ガ蛇ニ噛マレマシタ
秦檜ガ岳飛ヲ讒シマシタ
岳飛ガ秦檜ニ讒セラレマシタ
先生ガ学生ニ教ヘマス
学生ガ先生ニ教ヘラレマス

どの例も直接受身を扱っている。主語が一人称のケースでは省略してもよいととらえているようであり、口語にも配慮している。また、項目として「被使働助動詞」として「使役受身」を助動詞として立項しているのも大きな特徴である。