現代の超心理学
19世紀末サイキカル・リサーチ誕生を前にして、マイヤーズはシジヴィックとの対話の中で、ゴーストやスピリットなど不可視の世界についての新たな知識獲得の可能性と、その宇宙の謎の解明への寄与について論じている。
20世紀初頭、ラインは無形の知的存在の仮説を捨て、通常人の平常状態での超常的能力を実験的に研究し、ESP・PK(Psi、サイ)の実験の確証を得ることに努め、非物理的性質をもつ心の世界の可能性を論じた。
以後、Psiの心理的性質の解明、生理的事実との対応、より精密な事実の証明のための努力が続けられた。電子工学の成果を利用した研究方法の改良、微視的物理的世界との関係、時間を遡っての心の影響の可能性などの探究が行われ、近くは脳生理学の進歩、認識論の発展とPsiの関連が論ぜられるようになった。
一方、伝統的テーマである死後個性の存続、輪廻転生の問題などが、Psiの実験的成果をふまえ、超心理学の重要な研究領域となる兆しをみせている。
心の関係する超常的現象の研究である超心理学は、現代科学の諸領域の発展と、古代から持ち続けて来た心の世界説明の諸概念の検討など、研究の地平を拡大し、宇宙の構造と進化の解明への科学的努力に寄与する可能性を拡大しつつある