佐久間鼎

佐久間鼎

佐久間鼎は、三上章や松下大三郎の受身の論を引用しながら、『現代日本語の表現と語法』の中で、第一に、「本来のうけみ」として、動作者の対象となり、その処置や変化を受けたり、被る者を主格に据えて、事の次第を述べ、主格にくるのは、人間や動物、その他の「有情」のものに限られることを示している。また、第二に、「利害の受身」として、動作や事象の結果から来る間接の影響によって、主格に立つ者が、多くは迷惑を被り、被害を受ける(反対に好影響を受ける場合もある)ということを特徴とするものがあることを述べている。この「利害の受身」は、自動詞に限られるとされてきたものであるが、他動詞でも成り立つことを述べている。