国際化の名前

欧米でも名前の研究が盛んに行われていて、名前の心理学的研究も行われているそうです。マロリー・ウォーバー(イギリスの心理学者)は教育心理学の立場から、たいへん珍しい名前と一般的な名前とでの学園での満足度の調査を行いました。それによると、珍しい名前の学生ほど満足度が高かったそうです。特殊な名前や珍しい名前は、人から注目されて友人も多くなるそうです。しかし、有名人や芸能人と同じ名前だと、イメージに差がでてくるためか満足度が低くなるそうです。また、覚えにくい名前や発音しにくい名前や難解な名前だと、成功する人とパッとしない人とがはっきりと割れる傾向があるようです。
精神科医の調査によると、名前のイニシャルがYやZなどで始まる人ほど、神経症になる比率が高いという報告もあります。また、自分の名前の意味や由来が明確であると(欧米ではバイブルの中から名前を選んでいることが多い)、自分の名前に対する満足度が高いといわれています。
「自分の名前が嫌いな人は、自分の顔も嫌いである。」と言われています。「自分の名前を好きになることも、開運への第一歩といえるのではないか」と浅野八郎氏は述べています。1974年に発表された『ネーミングの心理』の著者であるポール・トルニクエ(スイス人の心理学者)は、「子供の名前はその子の将来の人格をつくりあげる重要な部分であり、性格にも影響を与えている」と述べています。現在の日本の姓名判断は画数に偏重している傾向がありますが、
○発音しやすい名前
○字源のよい名前
○名づけのいわれや意味がはっきりとしている名前
○外国でも通用するようなローマ字で書いてもスマートな名前
というものに気を配ってもよいのではないでしょうか。参考に、森鷗外の子供の名前を紹介してみますと、以下のようになります。森鴎外はドイツに留学していたころ、森林太郎という本名を覚えてもらえなかったため、子供には外国人にも覚えてもらいやすい名前をつけました。
○於菟(オト・オットー)医者
○不律(フリツ・フリッツ)
○茉莉(マリ・マリー)作家
○杏奴(アンヌ)作家
○類(ルイ)画家
どれも外国で通用するように考えられた名前ですね。特に長男の「於菟」は、「オットー」との類似で外国人に親しまれる名前の音であるだけでなく、寅年に生まれたこともこめられています。つまり、中国の南方では「虎」のことを「於菟」といいました。そのことを反映しているので、よく考えてつけた名前だと思います。『漢和辞典』もよく読むことが大切ですね。
江崎玲於奈博士の名前は、「レオナ」ですが「レオ」は獅子を意味しており、江崎玲於奈博士の父親は、獅子のように強く男らしくなってほしいという願いから命名したと言われています。外国では「レオナルド・ダ・ヴィンンチ」などのように馴染みのある名前で覚えてもらいやすい名前と言えます。