細江逸記・草野清民・山田孝雄

細江逸記は、「ようやく名徹な見解を下そうとされた学者は草野清民氏であったが、不幸にも氏は早世されたので十分に氏の説を聞くことができないのは私の最も遺憾とするところである(遺著『日本文法』129-30ページ参照)。氏に次いで、さらに数歩を進めしっかりした立場を保持して名透な学説を立てられたのは今の東北帝国大学教授文学博士山田孝雄氏で、ほとんど暗中模索の状態にあった私の目に一条の光明を与えたものは実に私が明治43年ごろに読んだ博士の名著『日本文法論』であったので、私は終生無限の感謝を未見の恩師山田孝雄博士にささげるであろう。博士の『文法上の時の論』(同書413-42ページ)には今日の私の首肯しかねる点もないではないが、しかもなお金玉の文字というべきである。」(p.35)と記し、草野清民、山田孝雄に触発されていることを述べている。