「れる・られる」は助動詞か?

「る・らる(れる・られる)」については、山田孝雄は複語尾の中でも「属性のあらはし方に関するもの」とし、橋本進吉は接尾語に近いと述べ、時枝記述は接尾語とするなどの、助動詞説と接尾語説があるが、古田東朔(1969-1971)では、「る・らる」を近世の国学者は、本居春庭『詞の通路』を受け継ぎ「動辞(動詞の一部)」としたことを述べている。ただし、富樫広蔭の『詞の玉橋』は「属(たぐひ)詞(ことば)」として他の動辞と区別し、鈴木重胤も『詞のちかみち』で同様の立場をとっているが、国学者の権田直助は『語学自在』で「辞」としていることを指摘している。それに対して、近藤真琴、田中義簾、中根淑などの洋風文典(蘭文典・英文典)には助動詞として扱う傾向が強く、大槻文彦は外国語文法の受身態との関係から、「る・らる」を切り離して「助動詞」とし、動辞や静辞と呼ばれるものも広く助動詞として、その範囲を広げたことについて述べ、扱いとしては権田直助『語学自在』に似ているが、全体としては鈴木重胤『詞のちかみち』に近いと推測している。