主語の見つけ方

日本語教育では、主語の特定の方法は、日本語学習者にとっては、重要な事柄の一つである。野田尚史(2015)では以下のように、日本語教育での「主語を特定する読解のための文法」と「省略された主語を特定する読解のための文法」についてまとめている(注)。

(主語を特定する読解のための文法)
○「−は」は主語であることが多い。しかし、「は」の前に「に」「で」のような格助詞がある「には」「−では」は主語ではない。
○「−が」はその後に出てくる最初の述語の主語になる。しかし、「−とき、」「−から、」「−が」などより後の述語の主語になることは基本的にはない。
○文の中に「−は」も「−が」もないときは、その文の主語はその文より前の文に出ているか、一人称の「私」であるのが普通である。

(省略された主語を特定する読解のための文法)
○文の中で文のモダリティによって主語を知る手がかり
たとえば、「うれしかったみたい」のような「みたい」という外面を表すモダリティを持つ文の主語は話し手ではなく、第三者である。
○句の中で話し手と動作参与者の関係によって主語を知る手がかり
たとえば、「電話をかけてきた」のような「てくる」という話し手に向かう方向性を持つ述語の主語は話し手ではなく、第三者である。
○複文・連文の中で近くにある主語との関係によって主語を知る手がかり
たとえば、前の文に主語があり後の文に主語がなければ、後の文の主語は前の文の主語と同じになることが多い。