ユングの流れ

ユング心理学の三つの方向性

1.古典派・・ユングの考えを最も忠実に継承する。心の深層で起きるイメージの変容を重視する。
(例)グリム童話「かえるの王様」
お姫様がある日、遊んでいた金色の鞠(まり)を誤って泉の中へ落した。そこへ醜いカエルが現れ、カエルに金色の鞠を取ってきてもらう。カエルに取ってきたのに、カエルを嫌悪感で壁に叩きつけた。すると、カエルは王子様に変身して、二人はめでたく結婚する。
(解釈)
金色の鞠・・自己の象徴
姫が嫌悪したカエル・・未知なる男性や他者
→男性や他者と不快な気持ちで関わることで、姫は大人へと成長し、結婚に象徴される自己実現に到達する。

2.元型派・・個人の持った原型イメージを重視する。イメージそのものを大切にする。
(例)ギリシア神話オルフェウスの竪琴(たてごと)」
太陽神アポロの息子のオルフェウスは竪琴の名手であったが、亡くなった妻のエウリュディゲを迎えに黄泉の国に迎えに行った。ところが、地上にたどり着くまでは、後ろにいる妻をふりかえってはいけないのに、つい振り返って妻を見てしまい、妻は再び黄泉の国へ連れ戻された。その後、オルフェウスは失意のうちに亡くなるが、彼の竪琴はゼウスによって星の中に置かれ、竪琴として光輝いた。
(解釈)
竪琴・・自己実現
神話の登場人物、アイテムが生き生きとしている。
オルフェウスの竪琴そのものが自己実現の達成(元型派)
cf.男性性の確立に失敗した典型例(古典派)

3.発達派・・幼児期の親子関係が人格を形成すると考える。大人になった時の人格形成に、幼児期の親子関係が大きな影響を持っていると考える。ロンドンを中心に活躍する分析家の流れ。ロンドンは、フロイトユングの考えが融合している場所である。転移と逆転移を重視する。
(例)ハーロウの猿実験 cf.スポック博士vs.松田道雄
親の愛情を受けられなかった子どもは、愛情への欲求が大きいため、大人になってから対人関係が歪むケースが非常に多い。
子どもに関して無関心な親に育てられた
→大人になったとき、子どものときに満たされなかった愛情を恋人などに過度に求め
る。
→愛してもらうために良い子でいなくてはという思いから、常に優等生を演じる大人
に成長する。