現代文の知識本−語句からテーマ語へ

現代文の背景知識に重点を置いた学習参考書、すなわち、現代文重要語の本を活用することが、現在では一般的になりました。そのさきがけとなったのは、山本康裕編『現代語の演習』(中央図書)でした。この本は好評で、さらに整理、発展して、桐原書店が『現代文重要語700』という本を出版しました。しかし、この二冊はあくまで、語彙力を機械的に並べたものにすぎず、文芸用語が多く含まれていて教養としての国語ではありませんでした。
 その後、『新釈現代文』の著者である高田瑞穂に支持した石原千秋教授(当時、成蹊大学教授)が、国語教育についての発言を行い、支持されていきました。石原千秋氏は、自ら入試問題を作成している立場から、文芸評論の時代は終わりをづげ、「教養としての国語」「道徳としての国語」というものが背景にあることを述べました。その影響を受けて、現代文の背景知識に重点を置いた『ことばは力だ・現代文キーワード』(河合出版)が発売されました。わかりやすさに重点を置いた本で、今でも売れています。この本をベースにして、大前誠治、青木邦容、高橋廣敏、Z会出版などが現代文の背景知識を前面に押し出す形で本を出版してきています。