将棋から学んだこと

おはようございます。
 「一つの技芸を究めた達人は、自然の呼吸やすばらしい人生哲学の完成者が多い」と、安岡(やすおか)正篤(まさひろ)氏は述べました。私も、達人の筆跡などをみていると、そのことを痛感します。決して上手ではないけれども、雄渾な文字なのです。私は、将棋からずいぶんと多くのことを学びました。勝負に弱い人、勝負に強い人などです。学習方法についても参考になりました。まず、将棋の棋士で勝負に強い人の特徴をあげてみると、
○研究熱心
○絶えず忙しくしている
○粘り強い
○勝っても負けても謙虚
とまとめることができます。私に影響を与えた棋士は、「大山康晴」「内藤国雄」「米長邦雄」「羽生善治」の四人の棋士です。この四人から将棋を通して学んだことを書いてみます。
 将棋の世界に君臨していた十五世名人の大山康晴(おおやまやすはる)という棋士は、性格はあまりよくはありませんでしたが、勝負強いことで有名でしたが、たいへん粘着質で有名でした。モットーは「我慢・忍耐」と述べています。大山康晴のライバルであった升田幸三という棋士もいましたが、残念ながら体を壊してしまい、大山康晴よりはタイトルは少ない状態でしたが、新定跡を生み出し、攻め込んでいく棋風は、多くのファンを獲得していました。「攻めの升田。受けの大山」といわれていました。ライバルの大山康晴は「攻めの升田と世間ではいわれているが、升田さんの本質は強靭な受けの強さである。その受け(守り)の強さがあった上で攻めているから、強いのだ。そのことに気づかないと升田さんには勝てない」と述べています。
 内藤国雄(ないとうくにお)という棋士は、歌手としても「おゆき」などをリリースしてヒットしたこともある棋士で、華やかで人気があり実力もありましたが、性格があっさりとしていたため、粘らずにすぐに投了するので、ついに才能はありながら名人位を取得することはありませんでした。
 現在の将棋連盟会長を務めている米長邦雄(よねながくにお)は、さわやかな棋風で人気がありました。若い頃は、淡白な性質で粘り強くありませんでしたが、齢を重ねるごとに粘り強くなっていき、ついには最年長での名人位を獲得することに成功しました。名人位を獲得したときのインタビューに、米長邦雄は「謙虚さと笑いが運を呼び込んだ」と答えています。一般に「さわやか流と泥沼流」といわれているのは、名張強さもあわせ持っているからでしょうね。
 現在の第一人者の羽生善治(はぶよしはる)は、人生論のようなものはまだ書いてはいませんが、対談集などを読むと、升田幸三米長邦雄船井幸雄の影響を受けていることがよくわかります。船井幸雄の「人間クラブ」の会員でもあります。対談集などから推測すると、
○素直さ
○勉強好き
○プラス思考
といったところでしょうね。
 米長邦雄羽生善治の対談集に『勉強の仕方』という本があります。羽生善治もさわやかですが、自分の頭で粘って考えています。これを米長邦雄は、「脳ミソが汗をかくまで考える」と表現しています。自分の頭でぎりぎりまで考えて、次の手を考えているのです。これやれば、実力はつきそうですね。コンピュータの普及でデータはすぐに検索できるようになりましたが、やはり自分の頭で考える癖がついていないと、強くなれないようです。
勉強も同じです。自分の頭で考えていくことが重要なのではないでしょうか。