万葉仮名

「万葉仮名」
「万葉仮名」と呼ばれるものがあります。主に上代の文献を表記するのに用いられたもので、『万葉集』を代表とするものです。当時は、「ひらがな」や「カタカナ」がまだありませんから、漢文で書くしかありませんでした。しかし、和歌のようなものは漢文ではうまく表現できません。そこで登場したのが、当て字でした。その当て字が「万葉仮名」です。近代の当て字は夏目漱石が元祖ですが、日本最古の当て字は「万葉仮名」といってもよいでしょう。これは、国語の表記をする際に漢字の音を用いる他、訓も利用した複雑巧妙な表記です。次のようなタイプの「万葉仮名」がその代表です。
一、訓による表記(訓がな)
大和―八間跡
薄―為酢木
二、音による表記(音がな)
国―久尓
心―許己呂