「る」「らる」について

「る」「らる」について
 今回は、私が最初に研究テーマにした日本語の助動詞の「る」「らる」について書いてみます。
 助動詞の「る」「らる」は、基本の意味が「受身」と「自発」との二つの説があります。一般的には、大自然への畏敬ということで「自発」が採用されることが多いのですが、実はどちらとも取れるのです。例えば、
  ○秋来ぬと目にはさやかに見えねども風の音にぞおどろかれぬる
という和歌では、客観的な格関係で「風の音によっておどろかされた」と受身に解釈できるし、主観的な意味合いが強ければ、「(私は)おどろかずにはいられなかった」と自発に解釈もできるのです。
 また、「る」「らる」を助動詞として扱う考え方の他に、時枝誠記のように接尾語として扱う見方もある。たしかに、動詞のすぐ下に接続する性質があり、他の助動詞に比べて動詞的な要素が強いものです。この助動詞の特殊性を感じていたため、最初に研究テーマにしたのです。しかし、参考文献も山のようにあり、オリジナル性を出すのにたいへん苦労しました。参考文献が少ないか、あるいは参考文献が多いのは、研究しにくいので、適度な参考文献のものがよいといえるでしょうね。