「玉の緒」ということば

「玉の緒」
 和歌に出てくることばで、「玉の緒」があります。「玉の緒」は、「玉を貫いた紐」のことですが、和歌では「魂を肉体につなぎ止めておく紐」のことで、「命」をさします。特に「はなかい命」をさします。百人一首にも収録されている「式子内親王」の名歌(忍ぶ恋の激しい思いの歌)があります。

玉の緒よ絶えなば絶えねながらへばしのぶることの弱りもぞする(『新古今集』1034)
(口語訳)わが命よ、絶えてしまうのならば、絶えてしまえ。このまま生きながらえているならば、堪え忍ぶ心が弱まると困るから。