「鳴かぬなら―」の句

「鳴かぬなら―」の句
 戦国武将の気質を示す「ホトトギス」のたとえがあります。よく引用されるものとしては、
織田信長
鳴かぬなら殺してしまえホトトギス
豊臣秀吉
鳴かぬなら鳴かせてみせようホトトギス
徳川家康
鳴かぬなら鳴くまで待とうホトトギス
が有名です。これらは、家康の死後、江戸時代後期の肥前国長崎県平戸藩の藩主・松浦(まつら)静山(せいざん)が、それぞれの性格傾向を句で表したものです。
 しかし、「自分はこの中のどれに該当するか」というインタビューで、「自分はこのどれでもない」と答えた人物が二人います。一人は、松下幸之助で、もう一人は中島薫です。では、この二人の答えたものを紹介します。
松下幸之助
鳴かぬならそれもまたよしホトトギス
○中島薫
鳴かぬなら鳴くやつ探せホトトギス
いかがでしょうか。それぞれのよさを認める松下幸之助のよさが滲みでていますね。また、執着しない生き方を好む中島薫氏のよさもよいですね。
 中島薫氏は、このように作った理由として、「何もホトトギスはこの世に一羽しかいないわけではないのですから、鳴かないのはほうっておいて、鳴くのをつかまえてきて鳴いてもらえばいいのです。この執着のなさが、お金に好かれるコツなのです」と述べています。大いに参考になりそうですね。