「べからず」について

 おはようございます。今回は、「―べからず」という表現について書いてみたいと思いす。「べし」の多様な意味については、以前書きました。もっと知りたい方は、中西宇一、橋本研一橋本進吉の息子)の論を読むとよいでしょう。
 「―べからず」には、三つの表現があります。漢文訓読と古文で共通して存在する表現としては、
  ○この橋渡るべからず。(この橋を渡ってはいけない)
という「―できない」(禁止)の表現、
  ○鳥飛ぶべからず。(鳥は飛ぶことができない)
という「―できない」(不可能)
の二つがあります。他には、「―はずがない」(打消表現)もあります。
 この三つの表現「禁止」「不可能」「打消当然」が書き分けられている例が『徒然草』にあり、かつて法政大学の入試問題で出題されたことがあります。最近は打消当然までは出題されませんが、「禁止」と「不可能」の二つは押さえておきたいところです。なお、センター試験では、「べからず」を「べから」と「ず」に原理的に分けて、「禁止=命令+打消」「不可能=可能+打消」と分解して考えることも要求されますので、ご注意を。まるで、日能研のテストみたいですね。