川端善明の助動詞の論

言語哲学の考察に優れた川端善明は、助動詞の特徴について鋭い指摘を行っています。ただ、難解であるため、理解するのに時間がかかるかもしれませんが、味わってみてください。
「基本的に動詞に下接した助動詞は、(1)動詞が述語であることの現実態を形成し、そのさまざまな在り方を意味するとともに、(2)それを述語として構成される事態への、話し手の判断態度を表す。その二面統一として個々の助動詞の意味はあるといえる。・・〈中略〉・・二つ以上の助動詞がいわゆる相互承接の現象を持つとき、(1)の濃いものを上位とし、(2)の濃いものを下位とするヒエラルキーが見られる。最上位に属するヴォイスの助動詞(使役・受身)は、(1)が最も濃く、活用諸語形が揃っており、また、文中における格助詞「が」「を」「に」と深い交渉を持つ。また、最下位の助動詞は(2)が濃く、活用形が限定されており、そういう現象においても意味においても、終助詞との連続が見られる。」