中相という概念

「中相」
日本語のヴォイスの研究として、本格的なもののさきがけをなすものとして、細江逸記の「中相」という概念がある(注)。能動態・受動態・使役態のほかに、中相態という概念を設定したのである。中相態は、インド・ヨーロッパ語で、受動態が発達する以前の形として知られ、受動的な意味を持つ自動詞である。この概念を、細江逸記は「煮える」「売れる」「くずれる」という受動的な意味を持つ自動詞だけではなく、「決まる」「授かる」「教わる」「預かる」などの他動詞にも適用し、こうした動詞を中相動詞としたのである。これらは、「−の状態になる」という状態の変化の意味が加わる。
(引用文献−用例−)
古事記
日本書紀
萬葉集
古今集
貫之集
竹取物語
土佐日記
伊勢物語
拾遺集
拾遺集
蜻蛉日記
枕草子
宇津保物語
源氏物語
十六夜日記
徒然草
新古今集
住吉物語
新勅撰集
与謝蕪村
千代女
坪内逍遥
落合直文
土井晩翠
大和田建樹
(引用文献−日本語学−)
賀茂真淵全集』巻三
詞やちまた
大槻文彦『廣日本文典』『別記』
金澤庄三郎『日本文法論』『日本文法新論』
山田孝雄萬葉集講義』『奈良朝文法史』『日本文法論』
三矢重松『高等日本文法』
草野清民『日本文法』
チェンバレン「The Japanese Language」