神道のエッセンス
神道の特徴
日本固有の民族的宗教をいう。祭祀を重んじる多神教であり、神々に対する民族的信仰(古神道)を土台に、外来の儒教・仏教思想の影響を受けつつ成立、理論化されていったものである。
奈良・平安時代には、神仏習合の思想が生まれ、鎌倉時代から室町時代にかけて、伊勢神道・吉田神道があらわれ、江戸時代には垂加神道・復古神道が形成された。
明治時代には、神道が国教化され、国家神道が成立する一方で、教派神道も発展していった。また、民間の儀礼・祭りなど民俗信仰にも神道が見い出せる。
○伊勢神道
伊勢外宮の神職である度会家行が、鎌倉末期に創始した神道説。反本地垂迹説にたって神主仏従を説き、内宮に対して外宮信仰を主張した。
○吉田神道
京都吉田神社の神職である吉田兼俱が、室町中期に創始した神道一派。わが国固有の惟神の道を主張する唯一神道である。
○山王(日吉)神道
近江日吉神社を中心に唱えられた天台宗系統の神道説である。鎌倉・南北朝時代に隆盛。
○両部神道
真言宗の立場で形成された神仏習合思想の体系で、金剛界・胎蔵界の両界曼荼羅を基に、神と仏との関係を理論づけてある。鎌倉時代に体系化された。
○垂加神道
江戸中期の儒学者である山崎闇斎が創始した神道説で、儒学と神道を合一した代表的な儒家神道である。天道すなわち、人道の一元に立ち、新人合一説を唱え、天皇崇拝にもとづく大義名分と封建道徳を説いた。その国粋的性格は、のちの尊王運動に影響を与えた。
○復古神道
儒教・仏教の説をまじえない、日本固有の純粋な古代の神の道を説く神道思想。江戸時代の国学者たちによって、唱道され、平田篤胤が体系化した。平田篤胤は、神々の子孫である天皇の絶対性と、その天皇の率いる日本の優越性を主張し、幕末期の日本思想に一時期、影響を与えた。
○国家神道
明治政府により国教化された神道。明治維新後、政府は神社に対する信仰を宗教として扱わず、国家神道として特別に保護し、天皇崇拝・国家思想統一に利用した。第二次大戦後、神社は国家管理を離れて、ほかの宗教と同列におかれた。学者・全国の神社の長で、大神主である天皇に軍服を着せたところに誤りがあると司馬遼太郎は指摘している。
○教派神道
国家神道に対して、幕末から明治初期にかけて庶民の間に起こり、政府より宗教として公認された神道である。天理教・金光教・黒住教などが公認されていた。
○天理教
○金光教
○黒住教
○大本教
神道系宗教団体。1892年京都府の出口なお創始。神秘的予言を基とする。養子出口王仁三郎によって組織化される。大正・昭和に不敬事件の嫌疑で弾圧を受けた。