朱子学・陽明学概説

朱子学陽明学

1朱子学
儒家は、秦の始皇帝によって弾圧されたが、漢の時代には再興した。のちに儒学は、科挙(官僚の採用試験)の試験科目となり、盛んに学ばれた。朱子学は、12世紀に南宋朱子朱熹)によって生み出された新儒学である。
理気二元論・・万物は理と気によって成り立つ。「理」は万物の秩序の原理、理法。「気」は宇宙万物を形成する材料。材料である気に理が秩序を与えることにより、宇宙社会が形成される。
○性即理・・心の本体である性に理がある。心は、「性」と「情」によって成り立つ。「性」は心の本体で、理が内在し常に善。「情」は喜怒哀楽など、善とは限らない。
○本然の性・・理が貫通した人間の本来の性。朱子学の理想。現実の心は情によって曇ってしまっている(気質の性)ため、曇りを取り除き、本然の性を目指すのが朱子学の目標。
○本然の性を目指す修行=居敬窮理と格物致知
居敬窮理
心を静め、精神を統一(居敬)。事物の中に宿る理を探究(窮理)。
格物致知
窮理の言い換えのことで、事物の中に理についての知識を見出し、理を極めること。事物の理を極めることにより、自らの性に内在する理も明らかに。
2陽明学
明の時代の王陽明は、子供のころ、庭の竹を切り取って「万物が理と気からできているなら、これを観察すれば理と気が見えるはずだ」と竹を見つめ、神経症になったと伝えられている。
理気二元論の否定・・朱子学の世界観を否定。
心即理・・心を性と情とに分けず、生き生きとはたらく心全体に理が宿ると考える。
致良知・・人間の心に生まれながら備わった道徳的能力である良知を発揮すること。
朱子学格物致知と異なり、外界の事物に理を見出すのではなく、心の中にある理をそのまま発揮する。
知行合一・・知ることと行うこととは、一体化しなくてはならない。行い得てはじめて知ったことになる。