標準語の成立
(口語文の成立から改革へ)
Ⅰ 口語文の成立
二葉亭四迷・・「だ調」
山田美妙・・「です調」
尾崎紅葉・・「である調」
Ⅱ 口語文の完成
自然主義(客観描写)
泉鏡花
夏目漱石(学者と作家の文体統一)
森鷗外(学者と作家の文体統一)
Ⅲ 口語文の進展
白樺派(流れる文体)
志賀直哉
芥川龍之介
永井荷風・谷崎潤一郎
Ⅳ 口語文の改革
新感覚派(抒情的)
横光利一・川端康成
(標準語と共通語)
標準語・・理想・人為的・厳しい規範性・その言語の価値を高めるのが目的・国語教育
共通語・・現実的・自然の状態・ゆるい規範性・現実のコミュニケーションの手段とする目的
(標準語の歴史)
一 京都語の時代(古代から近世前期)
二 京都語と江戸語の時代(近世後期)
三 東京語の時代(大正五年)
「願はくは予をして新に発達すべき日本の標準語につき、一言せしめたまへ。予が此点に就ては、現今の東京語が他日其名誉を享有すべき資格を供ふる者なりと確信す。ただし、東京語といへば或る一部の人は、直に東京の『ベランメー』言葉の様に思ふべけれども、決してさにあらず、予の云ふ東京語とは、教育ある東京人の話すことばと云ふ義なり。且つ予は、単に他日其名誉を享有すべき資格を供ふとのみいふ、決して現在名誉を享有すべきものといはず。そは一国の標準語となるには、今少し彫琢を要すべければなり。」
(上田万年「標準語に就きて」一八九五年)
「主トシテ今日東京に於テ専ラ教育アル人々ノ間ニ行ハルル口語ヲ標準トシテ案定シ、其ノ他ノ地方ニ於ケル口語ノ法則トイヘドモ広ク用ヰラルルモノハ、成程度マデ之ヲ斟酌シタリ。」
(大槻文彦『口語法』『同別記』一九一六年)