ビジネス倫理
日本のビジネス倫理・企業倫理
日本でお金の儲け方を示したのは江戸時代の井原西鶴『日本永代蔵』で、投資のコツを示したのは本間宗久でした。その一方で日本のビジネス倫理・企業倫理を講義したのは、鈴木正三『万民徳用』や石田梅岩『都鄙問答』でした。
明治時代に入り、日本においてのビジネス倫理・企業倫理というものを全面に押し出して成功した最初の人物は、澁澤栄一でした。『論語と算盤』の中で、道徳と経済とを一致させることを述べています。私の手許に澁澤栄一の音声と色紙の複製がありますが、高齢なのに立派な講演をしています。その根底には『論語』の儒教倫理と石田梅岩の思想がありました。
昭和になって、天理教をモデルとしながら、石田梅岩・澁澤栄一の流れを汲んで松下幸之助が成功を収め、PHPを設立しました。
それらの流れの中で、安岡正篤・中村天風・谷口雅春など多くの読書量を根底にして、ビジネス倫理・企業倫理を体系化したのが稲盛和夫です。その稲盛和夫の経営者向けの盛和塾の出身が孫正義です。さらにドラッカーの理論を活用したのが柳井正です。
このように、ビジネス倫理・企業倫理の流れをおさえて読書をするのも、自分の倫理観を創る上で効果的だと思います。