百人秀歌

『百人秀歌』の歌

百人一首に新たに入れられた歌)
人も惜し人も恨めしあぢきなく世を思ふゆゑにもの思ふ身は        後鳥羽院
ももしきや古き軒ばの忍ぶにもなほあまりある昔なりけり          順徳院

百人一首には掲載されていない歌)
よもすがらちぎりしことを忘れずは恋ひむ涙の色ぞゆかしき        一条院皇后宮
夜通し約束されたことをお忘れでなければ、私を恋うて下さる涙の色の紅を知りたいものです。
春日野の下萌えわたる草の上につれなく見ゆる春の淡雪          権中納言国信
春を待ちこがれて萌え出た春日野の草の上に、そ知らぬ顔で降り置いている春の淡雪よ。
きのくのゆらのみさきに拾ふてふたまさかにだに逢ひ見てしがな      権中納言長方
紀伊国の由良のみなとで拾うという玉、たまにでも会いたいものよ。

百人一首で入れ替わっている歌)
山桜咲きそめしより久方の雲ゐに見ゆる滝の白糸             源俊頼
山桜が咲き始めてから白雲のかかった空に、滝の白糸が見えることよ。