名詞句の構造

名詞句の構造

富士谷成章あゆひ抄
「名をもて物をことわり、装(よそひ)をもて事を定め、挿頭(かざし)・脚結(あゆひ)をもて言葉を助く」
→文の中心が、ものをあらわす「名」(名詞)と「装」(述語)で構成されるという見方。

名詞句の構造
名詞を中心とした表現がどのように組み立てられるかという問題。主に、「連体修飾の表現」と「並列の表現」とに分けられる。

a連体修飾の表現
(例)
酒のつまみ
→「つまみ」を「酒」が詳しくしている(連体修飾)
松の木
→「木」の一種としての「松」
日本語の勉強
→日本語を勉強すること
文法の話
→文法についての話
1名詞を修飾するグループ→連体詞
(例)
これは大きな問題になりそうだ。
あらゆる危険性を予測しなければならない。
全部買ってもたいした金額にならないだろう。
2述語として働くことができる動詞と形容詞が名詞を修飾するグループ→述語の働きをする語が使われるもの
(例)
何か飲むものはありますか。
冷たいものなら、ありますよ。
やせた人(「た」は過去ではなく性質を示す。やせている人)
3連体修飾の働きを本来持たない語が名詞を修飾するグループ→名詞や副詞が「の」や「という」のような接続語を伴って修飾表現になるもの
(例)
文法の本(名詞+の)
パスタという料理(名詞+という)
あいにくの雨(副詞+の)


b並列の表現
(例)
酒とつまみ
→「つまみと酒」と入れ替え可能(並列の表現)
「と」と「や」・・「と」は厳密、「や」はおおまか。
コーヒーと紅茶
コーヒーや紅茶
〇千円札3枚と100円玉4個と10円玉5個があります。
×千円札3枚や100円玉4個や10円玉5個があります。
「も」・・取り立て、累加。
夜も働く(「昼も働く」を暗示)
コーヒーも紅茶も好きだ(コーヒーだけではなく紅茶も好きだ)