センター試験国語の特徴

(センター試験国語の特徴)

センタ―試験は国立だけではなく、近年では、私立大学の多くが参加するようになりました。でも、意外と特殊な試験なのです。ですから、以下に特徴をまとめておきますので、参考にしてください。

〇配点が大きい
設問の配点が、一問につき五点から八点と、たいへん大きいので、一問のミスが大きな痛手となってしまう。したがって、国語の分野の中で得意なものをつくったら、苦手な分野を集中してマスターするとよい。
〇時間が苦しい
文章が長文で、しかも、設問の選択肢の文章も長いので、時間がかかってしまうし、見直す時間はほとんどない。一問二十分ぐらい(評論二十三分・小説二十二分・古文二十分・漢文十五分)をめやすに、制限時間の八十分ですべて解いてみたり、個別に解いてみたりするとよい。時間内におさめる練習が必要である。小説と漢文をできるだけ早く終わらせることが必要であろう。
〇前書きや注や出典に重要なヒントが隠されていることが多く、解答の根拠が傍線部の後ろにあることが非常に多い。確実な根拠がある場合以外は、見直したときに、解答を書き換えないほうがよい。
〇評論(現代日本語の説明的文章)は、設問は比較的正解が出しやすいが、問題文が長文なので持久力が必要。傍線部の近辺で解ける設問以外に、文章全体を把握しないと解けない設問もある。また、内容把握の難しい文章が多く、表現のやや難しいし、悪文に近いものもある。傍線部の内容説明または理由説明の問題が多く、全体の趣旨の判断の問題が一問出題される。また、傍線部を一文に拡大したあとの分析として、「接続語・指示語・主語・述語・省略された表現」に気をつけ、その前後にも拡大していく。解答の根拠となる文章を選択肢では、他の表現に置き換えられていることが普通なので、置き換えの表現に注意する。選択肢をよむときは、選択肢を横に読み共通表現に注目し、主語・述語・目的語を意識して、強すぎる表現などの選択肢の落とし穴には気をつけるとよい。日本語は述語表現を重視するので、後ろに気をつけることが必要。
〇小説(現代日本語の文芸的文章)は、評論よりも難易度が高く、問題文が長文である。心情に傍線部が引かれるので、その心情にいたる原因と、その心情の結果としての行動に注目して、心情を推測することが必要である。また、時間の推移や場面転換がある文章が出題されることが多い。ジャンルとしては、文化・芸術・思想・科学・言語・現代社会・哲学・文芸であるが、近年は哲学的な文章が多い。心情説明問題を中心として、本文上の語句の設問と全体の内容と表現についての設問がそれぞれ一問ずつ出題される。一般的に、小説は場面設定に関するもの、小説独特の表現に関するもの、登場人物の心情に関するものの三つである。心情説明問題の選択肢は、評論以上に、本文の該当箇所の言い換え表現が出てくる。
〇古文(古代日本語)は、近世(江戸時代)の文章が多く、和歌の設問も多い。かなり難易度が高い(私立の早稲田レベル)ので、基本的な単語と文法をマスターしたら、過去問を10本ぐらいやることが一番の対策になる。文法問題としては、品詞分解・活用形・識別・敬語がほとんどである。和歌の設問は辞技巧に関するものは減っており、「誰がどういう状況で詠んだものか」を重視し、その心情を読み取らせるタイプのものが多い。解釈問題は、重要単語だけでなく、助詞・助動詞・語法の解釈、敬語の解釈、主語・目的語・指示語の解釈が中心となっている。問題文を把握するには、人物・文意・場所・時間の把握が必要である。
〇漢文(古代中国語の古代日本語化)は、やればそれなりに効果がある。句形をマスターしたら、どんどん文章を読んでいくことである。設問としては、語彙問題・句形問題・部分解釈問題・全文の内容把握問題がある。近年は、中国人の好きな対比を使った構造で展開していく文章が多く、対比の意識が重要である。反語で自己主張をするものも増えている。また、選択肢を横に見て、ポイントをつかみ、注だけでなく、設問の選択肢にヒントがあることもある。
〇問題を解く順番は、次の通りである。解きやすく、時間内に終わる順番を確立すること。
(評論が得意な場合)
評論・小説・古文・漢文
評論・小説・漢文・古文
(小説が得意な場合)
小説・評論・漢文・古文
小説・評論・漢文・古文
漢文・小説・評論・古文
(古文・漢文が得意な場合)
漢文・古文・小説・評論
古文・漢文・小説・評論
(漢文が不要な場合)
評論・小説・古文・漢文

なお、センター試験は国立大学ごとに毎年出題者が変わるので、どうしても傾向がないという特徴があります。傾向がないのがセンター試験といってもよいでしょうね。