筆跡
「書は人なり」と言われます。文字には人の性格や深層心理が反映されます。フロイトの考えにあてはめると、「無意識の世界が人間の何気ない行動や文字をコントロールしている」ということができます。基本的に性格(パーソナリティ)は変えることができるのでしょうか。意見の分かれるところでしょうが、先天性と後天性とに分けて考えると、基本気質は変わらないが、変えることのできる部分もあるといえます。先天性は基本気質であり、変えることはできませんが、後天性は環境や職業などによって形成されるので変えることがでるのです。
筆跡は脳跡とも言えます。40もの筋肉を用いて手を動かし、個性が表されます。心理学者のウィリアム・ジェームスは、行動と心・性格との関係を密接なものと位置づけました。行動が感情をコントロールできるというわけです。例えば、「悲しいから泣く」のも真実ですが、「泣くから悲しい」というのも真実なのです。行動の中に「文字を書く」という動作も含んでいます。つまり、「性格が文字に表れる」のも真実ですが、「文字が性格をつくる」のも真実なのです。しかし、具体的にどのような文字がどのような性格かは、あまり日本では盛んではありませんでした。