方位の意味

昨日は、『源氏物語』の講座で「物忌(ものいみ)」と「方違え(かたたがえ)」の話をしてきました。平安の頃の方位は、中国の影響を受けていると考えられます。そこで、方位の意味をまとめてみることにしました。


「方位の意味」

(北)
北は、十二支では「子」の方位をされ、聖なる場所といわれています。貯蓄運・子宝運・愛情運・信頼・勉強運などを司るといわれています。特に、病気(特に腎臓病や婦人病)をみる方位でもあります。気学では、北(子の方位)が吉方位になったときに旅行にいくと、健康に効果がでるといわれています。そのため、家相でも北を清潔にしておくことが必要です。さらに北には、努力という暗示もありますので、子供の勉強部屋や仕事部屋としても活用するとよいでしょうね。あるいは、北に机を向けるのもよいかもしれませんね。北は貯蓄の暗示もあることから、小林祥晃氏は、「へそくり」の財布や通帳などは、北の部屋や部屋の北の位置に置くことをすすめています。
北は玄武(亀)が守護する方位なので、ラッキーカラーは「黒」ということになります。しかし、黒の花は少ないので、「白」や「青」の花で代用することとなります。五行説では、「北」は「水」が中心となる場所なので、水と関係の深いものを置くとよいのです。例えば、スイレン、ハス、水草などの水性植物を置いたり、水槽などを置いたりするとよいのです。水槽に「獅子頭」などの金魚を飼うと、金運が上がり、とてもよいといわれています(もともとの金魚の原種は「黒」です)。
(北東)
北東は、十二支では「丑寅・艮」の方位といわれ、昔から忌み嫌われていた方位でした。中国では、異民族が北東から侵入してくるために、秦の始皇帝万里の長城を築きました。日本でも、鬼門(丑寅・艮の方位)として「鬼門を侵すものは七殺の祟りあり」とされてきました。平安京を造営するときも、北東の鬼門にあたる場所を押さえるために、比叡山延暦寺を置きました。そこで、京都を攻略する上で、僧兵が邪魔であったのと、京都を守護している比叡山延暦寺を焼き討ちしたのが織田信長です。また、徳川家康も江戸の地を安定させるために、天海のアドバイスに従って、北東の鬼門の場所に東叡山寛永寺を置きました。さらには、北東に水戸藩を設置して水戸藩主を代々、副将軍としました。遺言のひとつに、「鬼門にあたる水戸藩からは将軍を迎えてはならない」というのがあったそうですが、水戸藩から一橋家の養子に入った徳川慶喜が将軍職について、徳川家は滅んでしまいました。何とも、不思議な話です。歴史学者五味文彦氏によると、年号を用いている寺院というのは、別格であるそうです。つまり、「延暦」「寛永」は年号であり、「延暦寺」と「寛永寺」は年号の名前を使った寺院なので、格が違うということになります。それだけ、重視していた方位ということになります。
北東は、家相では「金運や不動産を司り、神様の通り道である」ともいわれていますので、きれいにしておく必要があります。家の庭で北東に「張り」や「欠け」があるなら、邪気払いの効果のあるヤツデを植えて対処することがよく薦められます。昔の家では、北東の鬼門にトイレ(雪隠、ご不浄)があることが多く、衛生上のことも考えて、ヤツデを植えることが多かったのです。神道系統では、毎月28日に北東の場所で、盛塩をするとよいといわれています。
家の北東の部屋や位置には、華やかな花瓶に、松・バラ・牡丹・シャクヤクなどを飾ると吉運を高めるといわれています。陰陽五行説では「土」にあたる方位なので、土器・土瓶などの焼き物をおくとよいのです。色としては、白・赤・黄などがラッキーカラーとなります。
気学(方位学)では、北東が吉方になったときに旅行すると、「不動産運」「財運」「健康運」があがるといわれています。
(東)
東は、十二支では「卯」の方位で、太陽の昇る方位ということもあり、仕事運・成功運・発展運・若さ・やる気などを出すといわれています。気学でも仕事運を上げるときには「東」の吉方位を利用します。聖徳太子も「日出づるところの天子」というように、日本の天皇を表現しました。皇太子のことを「東宮・春宮」などともいいますね。それぐらい、若き後継者に適している方位ともいえますので、長男に東の位置を使わせたり、新入社員に東の位置の机を使わせると、大いに発展します。東は若さを示しますから、ゴムの木などの「緑」の色の観葉植物を置くとよいでしょうね。
また、「青龍」が守護神なので「青」のものを置くのもよいでしょうね。大切な人と会う前や大事な日の前などに、左手の人差し指で右手に「龍」と書く「おまじない」もあります。これも、右が東を表し、東の守護神が「青龍」であることからきていると思います。「おまじない」も効果がありますから、利用してみてくださいね。
(東南)
東南は、十二支では「辰巳・巽」の方位で、人名でも「巽」というものがあります。縁起のよい方位とされてきました。墓石や神棚や仏壇は、東南に向けて設置することが多いことも頷けます。また、気学・風水では恋愛運・結婚運・人間関係運・旅行運がある方位としても知られています。特に、女性の場合には恋愛・結婚運が開ける方位としても有名です。
ビジネスでは、東南は物事を整え、人間関係や交際を意味するので、東南の部屋を応接間にしたり、社長・副社長・専務・常務など対外的に活動する人の部屋をもってくるとよいと思います。色としては、モモやオレンジ色がよいようです。
家相としては、香りを示す方位であることから、東南の場所に、ジンチョウゲクチナシなどの香りの高い花の木や、長寿と良縁をもたらす紅梅と白梅とをセットで植えるとよいとされています。置物としては、青龍などの置物もよいといわれています。
(南)
南は、十二支では「午」の方位で、「天子は南面す」などといわれ、天子は南に着座する慣習がありました。南は名誉運・くじ運・才能・直観力などを示します。そのため、医者・弁護士・芸能人・政治家などの名誉が必要で人気稼業の人には、欠かせない方位となります。
陰陽五行説では、南の守護をしているのは「朱雀」です。南には赤がよく似合います。例えば、松もよいとされていますが、やはり、赤い実のなるピカランサやアオキ、赤いナンテンなどを植えたり、赤い花や赤富士の絵などを部屋に飾ったりするのもよいですね。
また、恋愛関係では「リセットする運気を示す」といわれています。そのため、ストーカーや悪い因縁を切る作用がありますので、南の吉方位で一緒に旅行した場合には、よいご縁なら残りますが、悪いご縁だと切れますので、ご縁を試すのにはよい方位です。
(南西)
南西は、十二支では「未申・坤」の方位で、鬼門の対極にあることから、裏鬼門と呼ばれています。江戸の土地には、裏鬼門を封じる意味で、増上寺が置かれています。また、南西は、家庭運・不動産運・健康運・安定・根気強さを示すといわれています。まじめな社員にしたければ、「南西」の位置に机をおくと、まじめにコツコツと働くようになるといわれています。
気学では、家庭運をあげる方位といわれており、家庭円満にするとされています。色としては、赤・黄・茶などがよいとされています。
南西は、「裏鬼門」などと呼ばれて、北東の「鬼門」の対極の位置にあります。古代中国では、邪気を払うために南西に「桃」を植えました。「桃」には邪気を払う効果があるとされており、日本でも『古事記』にでてきます。「桃」は手入れが大変なので、「ヤマモモ」や「ユズ」「夏ミカン」「ダイダイ」などの柑橘類を植えることもあります。
(西)
西は、十二支では「酉」の方位とされ、白虎が守護神で金運・恋愛運・商売運・玉の輿・喜びをもたらすなどといわれています。また、楽しく遊ぶ社交性も示しています。特に、西は「お金」の流通の場所なので、金庫などのお金の保管場所としては、最適です。
この西の部屋を使うと、良縁に恵まれるといわれています。西に植えるとよいのは、ダイダイなどの柑橘類やキンモクセイなどがよく、金運をもたらすとされます。
色としては、金運をもたらすので「黄」、あるいは白虎なので「白」となります。コパ風水では、「西に黄色」といいますが、それはお金の色が「黄色・金色」だからではないかと思います。私は、「白」を中心に考えています。「金運」「恋愛運」のおまじないとして、左手の手のひらに右手の人差し指で「虎」と書く方法もあります。
(西北)
西北は、「神門」と呼ばれ、商売を行う家では江戸時代以降、必ず神棚を置いた場所です。西北は、十二支では、「戌亥」の場所とされており、人名でも「乾」という苗字の人がいるのも、この方位の縁起のよさのためです。西北は、勝負運・出世運・事業運・神仏の加護・スポンサーの援助などの意味合いがあり、方位の中でも一番位が高いとされてきました。トップの地位にいる人が、威厳や風格を備えるのに適した方位でもあります。西北には、「竹」観音竹などの鉢植えでよいので置くとよいといわれています。竹は活力を与え、財運招福になるのです。
この方位の色としては、「白」や「金」の置物をおくとよいでしょう。とりわけ、この方位は大切なので、きれいにすることと、龍の置物(特に金龍がよい)をおいたり、水をおいたりすると、家も会社も発展するといわれています。

方位別の幸運色
中国では、方位別に伝説上の動物がいるとされています。高松塚古墳キトラ古墳にも描かれていま
したが、東が「青龍」、南が「朱雀」、西が「白虎」、北が「玄武」です。そのことから、東が「青」、南が「朱」、西が「白」、北が「玄」を基本としながら方位別の幸運色が考えられています。
また、この時期は、来年度の開運暦が発売されますね。吉方位の効果というものもあります。一般に40キロ以上離れた所に行くのがよいとされ、その土地の神社などで湧水を飲み、飲み食いするのがよいとされています。
絶大な効果をあげるには、100キロ以上で3泊4日以上といわれています。色が人に与える影響と
いうことが心理学では盛んに研究されてきました。最近ではカラーコンサルタントという肩書きで仕事をしている方もいるほどです。占いの世界でも、気学・風水の応用として、その方位のシンボルカラーを身に付けることで、吉方位の旅行の代用をしようという発想での開運法も盛んに行われるようになりました。忙しい現代では、なかなか吉方位が取れなかったりすることも多いので、生み出すことのできたものといえるかもしれません。以下に、方位別の効果とシンボルカラーをまとめておきます。もしも、仕事が忙しくて、思うように吉方位がとれないときには、シンボルカラーを身に付けて、その方位のパワーを感じてみてはいかがでしょうか。


(北) 白、灰色、黒、赤、緑、青
健康運・子供運・交際運・愛情運
一白水星
マスコミ関係・水商売などの接客業・サービス業・商社マンなど

(北東) 白、赤、黄、あめ色、チェック柄、茶
変化運・不動産運・相続運・貯蓄運
八白土星
不動産関係・大工・ホテル関係・ホテルマン・公務員など

(東) 赤、青、紫、白、緑
発展運・創造運・活動運
三碧木星
芸能タレント・作家・音楽関係・広告関係・司会など

(東南) オレンジ、緑、ベージュ、赤、白
結婚運・良縁運・契約運・社交運
四緑木星
フライトアテンダント・観光関係・セールスマン・販売など

(南) 緑、ベージュ、赤、白、紫
芸術運・知性運・ビューティー運・名誉運・リセット運
九紫火星
プログラマー証券アナリスト・デザイナー・女優・高級クラブママなど

(南西) 緑、灰色、黒、黄、白、茶、オレンジ
家庭運・仕事運・不動産運・勉強運・努力運
二黒土星
研究職・看護師・保育士・教師・福祉関係など

(西) 黄、ピンク、赤、白
金運・恋愛運・社交運
七赤金星
料理人・歯医者・サービス業・銀行関係・ファッション関係・スポーツ選手など

(西北) ベージュ、黄、赤、白、ストライプ、シルバー
勝負運・投資運・出世運・援助運
六白金星
弁護士・会計士・金融業・通訳・医師・牧師など

(方位なし)  黄
五黄土星
組織のリーダー・政治家・経営者・自営業など

方位学の活用法

①各方位別、叶う願望の種類
北・東南・西(結婚運)
南(悪縁を切る・裁判で勝つ・頭脳明晰・才能開花・名声運)
北(健康運・悩みの解決・子供運)
東北(不動産運・相続関係)
西北(出世運・投資関係)
東(仕事運・発展運・元気になる)
南西(家庭運)
北・東南・西(人間関係運)
東北・東南・西・西北(金運)
北・東南(取引・交渉)

②健康の改善に効く方位
北(腎臓・セックス関係)
東北(腰痛・リウマチ)
東(肝臓・神経痛)
東南
南(心臓・眼・耳)
南西(胃腸・皮膚病)
西(口内疾患・歯痛・胸部疾患)
西北(頭痛・肺・便秘)