言語習得とは何か

(言語習得とは何か)

幼児が言語習得においてモデルとしているのは、書き言葉ではなく、周囲の人々の話し言葉である。量的に限られた、構造的には話し言葉独特のルーズな言語資料(インプット)をモデルにして、間違ってウもそれほど訂正されることなしに、幼児は第一言語の習得に失敗することはない。
言語習得について、生得か環境かという問題があるが、このように二項対立ではなく、どちらも幼児の第一言語習得に関わるとしたほうがよい。現在、子供の言語習得をめぐって必要とされることは、実際に子供がどのように言語を獲得していくのか、親や他の人との関わり、文化的環境、自然環境、言語以外の認知能力、非コミュニケーション能力など、関係のありそうなあらゆる点に目を向けてデータをとり、帰納的に推論していくことであろう。
第二言語習得は、その人の備えている学習の条件や性格、学習スタイルなどによって、習得の結果が一様でない。しかも、第二言語との接触開始年齢が高く、既にコミュニケーションの有効な手段(母語)を持ち、認知的にも一定の枠組みを持っている。また、第二言語との接触が続き、日本語能力が高くなるにつれ、学習者自身によって、誤りがいつのまにか訂正されていく。言語使用が継続する中で誤りが訂正されていく点で、第一言語習得と共通する。