ポスト教授法の時代

現在は、ポスト教授法の時代といわれている。J・V・ネウストプニー(1991)では、「ポスト・オーディンガルの語学教育はいわゆるコミュニカティブ・アプローチから始まったが、現在もまだ完成されているとはいえない。ここでは、現在目立っている」と述べ、次の三つの問題点をあげている。

1日本語教育の社会的機能
2日本語教育とジャパン・リテラシーとの関係
3インターアクション場面の実際使用

J・V・ネウストプニー(1995)は、次のように大きく教授法の型を三つにとらえ、個々の段階において種々の学習法(ダイレクト・メソッド、TPR、サイレントウェイなど)があるが、これらは次の三つのどれかに当てはまるとしている。

1文法翻訳法型(GT)
2オーディオ・リンガル型(AL)
3ポスト・オーディオリンガル型(PAL)

その上で、オーディオリンガル(PAL)の教授能力観の基盤を次のように述べている。

ポスト・オーディオリンガル(PAL)、つまりオーディオリンガル以後の教授能力観の基盤は、1960年以後の世界的規模における経済などの統合の結果だといえるだろう。・・〈中略〉・・PALの時代になってはじめて学習者のコミュニケーション問題の分析が行われるようになり、コース・デザインへの体系的なアプローチが見られるようになった。

(参考文献)
J・V・ネウストプニー(1982)『外国人とのコミュニケーション』岩波新書
J・V・ネウストプニー(1991)「新しい日本語教育のために」『世界の言語教育』1
J・V・ネウストプニー(1995)『新しい日本語教育のために』
家根橋伸子(2012)「第二言語(日本語)教育における『方法』概念の変遷と現在−post method時代の『方法』の位置づけを考える−」『東亜大学紀要』第15号
伴紀子(1997)「日本語教育を支える教授法(理論)とその動向」『日本語教育』94号