日本の風土と文化

○日本の風土と文化

1古代日本人の自然観・宗教観
八百万の神多神教
アニミズム(自然物に魂が宿るという考え)から発展。唯一絶対神への信仰はない。人間に畏怖心を起こさせる様々なものを神と考えた。
本居宣長は、「すべてかしこきもの(人知を越えたもの)を神といふなり」と指摘した。
○神話編纂
古事記』『日本書紀』の編纂により、神々は天照大神を中心に秩序づけられた。
○現世中心主義
天国や浄土のような、来世を理想とする信仰は見られなかった。
○黄泉の国
死後の世界。現世とは異なる世界ではあるが、往来可能と考える傾向も見られた。理想の世界ではない。
2日本人の倫理観
○清き明き心(清明心)・・理想的心情⇔穢き心・・腹黒い、私利私欲に満ちた心。
清らかな自然美を模範とした純粋な心情。私心、うらおもてのない、共同体に益をもたらす心。
○ツミ(罪)、ケガレ(穢れ)・・共同体への害
病気、死、あらゆる汚れ、犯罪などの害悪。
→ミソギ(禊)、ハライ(祓)で除去できる。禊は水で洗い清めること。祓は、塩、火、水、幣などを使い、害悪を払い除く儀式。(例)スサノヲ
■感性的倫理観
日本人の倫理観は、論理性より感覚性が強い。また、深い罪意識は乏しく楽観的だった。
3日本文化の研究
柳田国男
日本民俗学の祖
「常民」の習俗を研究→日本の基層文化を探究→祖霊信仰などについて考察。祖霊信仰は、日本人の素朴な来世観で、死者の霊が山に行き、そこで祖霊となって子孫を見守るというものである。
柳宗悦
民芸運動を創始。朝鮮半島からもたらされた陶芸などを評価。
朝鮮半島からもたらされた陶芸などを評価。
折口信夫
「まれびと」を日本の神の原型と考える。「まれびと」は、神は別世界から現実の世界に飛来するという日本人の意識を表している。
南方熊楠
生物学者でもあり、神社合祀に反対。
○ベネディクト
著書『菊と刀』の中で、日本文化は他人の目を気にする「恥の文化」だと指摘⇔欧米は「罪の文化」で深刻な罪の自覚を持つ。
○中根千枝
著書『タテ型社会の人間関係』で日本の社会を「タテ社会」と考察⇔欧米は「ヨコ社会」