現代文の参考書の歴史(7)

 板野博行氏の現代文の書籍も多く書店に置かれています。もともと、板野博行氏は代々木ゼミナール講師で、『古文単語565』も代々木ライブラリーから出版するはずでした。ところが、東進ハイスクールに移籍したために、『古文単語565』は東進ブックスから出版されました。そして、現在では、アルス工房という板野博行氏の経営する出版社から出版されています。その板野氏が、漢文や現代文の学習参考書も書き始めて、書店でもよくみかけるようになりました。しかし、どうも解説がピンとこないのです。あまり流行ってほしくない現代文の解説なのです。
 板野氏の古文は、それなりによい出来ばえでしが、どうも現代文はよくありません。「しかし」「だが」などの逆接の下や、「つまり」「すなわち」などの言い換えの下に傍線を引くなどの、ある意味で当たり前のことが書かれています。それに、そのような棒線引きは、高校入試で現代文の補助輪付き自転車のような感じで用いるもので、大学入試で用いるものではありません。内容読解の意味でも、問題の多い現代文の考え方です。このやり方では、現代文が迷路に迷い込むと思います。厳しくいえば、悪書です。このような本に引っかからないようにしてくださいね。やはり、板野博行氏は、古文の著作がよいのでしょうね。