明治から昭和までの他の文法書

 明治期から昭和初期までの他の文法書

明治期から昭和初期にかけての他の文法書の主なものとして、大槻文彦『語法指南』、草野清民『草野氏日本文法全』、吉岡郷甫『文語口語対照語法』、徳田淨『国語法査説』、堀重彰『日本語の構造』、保科孝一『日本口語法』の記述をみると、特徴的なものは、堀重彰『日本語の構造』であった。この中で、被動の助動詞を「動きが消極的方向であり、状態的陳述となるもの」と述べている。このことは、受身の焦点になる状態性にスポット当てた点で重要な意味を含んでいる。山田孝雄の指摘には見られなかった「動きが消極的」「状態的陳述」といている点で、受身の本質をとらえようとしており、評価されてもよいのではないだろうか。