時代別日本語の特徴

(時代別 日本語の特徴)

? 奈良時代までの日本語
(系統)
ウラル・アルタイ語族 縄文型と弥生型
六世紀以前の日本語・・文献時代以後の日本語(原始日本語・史前日本語)
七、八世紀の日本語・・推古朝以降奈良時代末までの日本語・・上代
(音韻)
万葉仮名・・八母音説(甲類・乙類)・上代特殊仮名遣 略体歌・非略体歌 被覆形・露出形
(文法)
「蹴る」(下一段)は「くう」(下二段) 「こそ―連体形」「こそ―終止形+も」
形容詞の未然形「け」「しけ」 ク語法 ミ語法  形容動詞は未発達
「ゆ・らゆ」(受身・自発) 「ましじ」(打消推量) 「ふ」(継続) 「す」(尊敬)
つ な ゆ ゆり よ かも なも い ろ ゑ 
丁寧語の未発達
(語彙)
漢語・朝鮮語梵語  雅俗の意識
(文体)
純漢文 変体漢文 宣命
(方言)
東国のことば・・『万葉集』の「東歌」「防人歌」


? 平安時代の日本語
(区分)
四期・・初期・中期・後期・末期(院政時代)
(資料)
和文資料・漢文訓読資料(訓点資料)
平仮名・片仮名 
(音韻)
濁音 発音通りの表記 五母音
(文法)
形容動詞の発達 「蹴る」(上一段) 動詞の九つの活用形 準体句 音便
「る・らる」(受身) 「す・さす・しむ」(使役) 「めり・べらなり・まじ」(推量)
かな なむ 係り結びの発達
(語彙)
字音語 漢文訓読語



? 鎌倉時代の日本語
(資料)
古代日本語から近代日本語への過渡的要素(近古の日本語) 訓点資料
漢字重視の傾向 定家仮名遣
(音韻)
mとnの混同 合拗音の直音化
(文法)
終止形と連体形の合一化 係り結びの乱れ 二段活用の一段化 接続詞の発達
たし ばし 「さうらふ」「さぶらふ」
(語句)
湯桶読み重箱読み 和漢混淆文 武家詞と漢語 
(文体)
言文不一致


? 室町時代の日本語
(資料)
多くの辞書 口語資料(狂言・抄物・キリシタン文献)
(音韻)
四つ仮名 開音と合音 音便 連声
(文法)
係り結びの消滅 ラ変の四段化 形容詞のク活用とシク活用の区別消滅
形容動詞「タリ」活用の衰退 可能動詞
「き・けり・つ・ぬ・り」の消滅 「たり」が「た」「めり・まし・けむ」が衰退 「む」が「う」 
「である・であ・ぢゃ」 「ぬ・なんだ」(打消) 「だに・すら」から「さへ」 
ならば・たらば・によって・ほどに・さかいに・ところで・うちに・けれども 丁寧語の発達
(語彙)
漢語の語彙量の増大 外来語
(文体)
和漢混淆文 候文
(方言)
東日本と西日本の言語差








? 江戸時代の日本語
(特徴)
話し言葉と書き言葉 地域による言語差 
上方語と江戸語(前期の上方語・後期江戸語) 武士の言葉と町人の言葉 契沖仮名遣
(音韻)
開音と合音の混同 四つ仮名の混同 合拗音の直音化 
(文法)
二段化の一段化 「れる」「られる」「せる」「させる」 
四段の上一段化 ナ変の四段化 サ変動詞の四段化・上一段化
「ぢゃ」と「だ」(断定) 仮定条件の「已然形+ば」 
「なんだ・なかった」(打消過去) 「そうな」(様態・推量)
「ゆゑに」「さかいに」「で」「ので」「から」 「が」「けれど」
「いの」「いのう」「いな」「わいの」
「ぜ」「ぜえ」「ね」「ねえ」「さ」
「ます」
(文体)
擬古文 雅俗折衷文 俳文 漢文訓読調の文体
会話部分は口語で記述


? 明治時代以降の日本語
(表記)
言文一致運動(です・である) 
現代仮名づかい 当用漢字表 訓令式ヘボン式
(音韻)
母音の無声化 フェ・ティ・ツィの発音の獲得 ガ行鼻濁音
(文法)
「ちゃう」(完了) 「らしい」「だろう」「でしょう」「みたいだ」(推量)
文末表現の多様化 である だ です ます
丁寧語の発達
(語彙)
翻訳語 和製英語 
(方言)
共通語(標準語)とラジオ・テレビの発達