日本語の特質

日本語の特質

1.日本語の音韻

【音素】
母音音素・・/a/ /i/ /u/ /e/ /o/
子音音素・・/k/ /g/ /s/ /z/ /t/ /d/ /n/ /h/ /b/ /m/ /y/ /r/ /w/
※音声的には半母音/y//w/は他の母音を伴って音節になるという子音的要素がある。/y/は/i/、/w/は/u/と同じである。音韻の実体化したものが音声。

【特殊音素】
/Q/(促音)
/N/(撥音)
/R/(長音)
(特徴)
a.常に単独で音節を構成する
b.原則として語頭にたたず、語中語尾に出現する。
c.対応する音声は音韻環境により極めて多様である。

【アクセント】
日本語のアクセントは「ピッチアクセント」(高低アクセント)である。
※英語は「ストレスアクセント」

【音韻論的音節】
a.1つの母音で構成されるもの(ア行)
b.子音+母音のもの
c.子音+半母音+母音のもの(拗音)
→日本語の音節構造はCV構造(C=consonant,V=vowel)であるとされる。
d.開音節性
→日本語の単語は基本的に母音で終わる。


2.日本語の文法

a.素材表示の職能を中心とする単語(観念語・詞・自立語)と関係構成の職能を中心とする単語(関係語・辞・付属語)に二分される。
b.文法機能は関係構成の職能を中心とする単語に委ねられる。→膠着語(こうちゃくご)
c.用言は活用という語形変化によって文法機能を明示する。→屈折語
d.アルタイ型言語
○述語が基本的文の成分であり、文の終わりにくる。
○修飾語が被修飾語の前に置かれる。


3.日本語の表現

主語と待遇表現−「は」「が」「省略」「尊敬語・謙譲語・丁寧語」−
結果志向・自然志向の表現「−になる」
語順−客観的・素材的な成分から主観的・陳述的な成分へ−
述語は常に文末に位置する。
修飾語は常に被修飾語の前に位置する。
付属語(助詞・助動詞)は常に自立語に後接する。
同一動詞に後接する助動詞群の相互承接には一定の決まりがある。
使役・受身・希望・否定・時・断定・推量
文末の助詞群にも一定の決まりがある。
判断−聞き手への働きかけ

4.日本語の語種

【単種語】
a.本来の日本語・・和語(やまとことば・固有日本語)
(例)たけなわ・春・見る
b.中国からの借用・中国からの字音の借用・・漢語(字音語)
(例)季節・一同・学校
c.欧米や近現代の中国語からの借用・・外来語(洋語)
(例)ジーパン・パン・ギョーザ
【複種語】
混種語
(例)スナップ写真


5.現代日本の文字

a.表語文字(音と意味を示す)・・漢字
b.表音文字(音節を示す)・・仮名(平仮名・片仮名)
(音素を示す)・・アルファベット
※「重箱読み」と「湯桶読み




6.日本語・日本文学の時代区分

? 上代(奈良)飛鳥・白鳳・天平
? 中古(平安)弘仁
貞観
国風(藤原)
院政
? 中世(鎌倉)鎌倉
(室町)南北朝
北山
東山
天文
桃山
? 近世(江戸)寛永
元禄
文化文政
幕末
? 近代(明治・大正・昭和20年)明治
大正
昭和
? 現代(昭和20年以降・平成)昭和
平成
(参考)
古代・・上代+中古
上代=上古
現代・・平成以降を示すこともある
南北朝の動乱・・日本語アクセントの大転換
応仁の乱・・文法変化の大転換・文化史の大転換(内藤湖南