漢字教育法

【参考資料】「漢字教育法」

1許容の字体・・漢字は,その骨組みである点画の組み合わせさえしっかりつかんでおけば,細部の止めやはらいなど多少の違いは許される。
原田種成の主張・・「漢字教育法」の必要性。『漢字の常識』(三省堂)・『漢字の教養』(愛育社)・『漢字小百科』(三省堂
「漢字はその骨組みである点画の組み合せが違っていなければ誤りではない。」
「法律においてさえ裁判官は疑わしきは罰しないのである。それなのに漢字教育においては疑わしきを罰するという非理非道がまかり通っている。」(『漢字の常識』)
「楷書は・・・広い地域で千五百年以上も書かれてきた書体である。多くの人々に使われる間に書きやすいように字形が工夫され,また天才的な書の名手によって磨き上げられて完成するとともに,一方では時代や地域によって部分的に異なった字形にも書かれてきた。筆記体というのはこうしたもので,正しく美しく書きたいという要求がおのずと働くと同時に,筆画の多少の差異は許容するものである。」(『常用書体字典』)

2問題点・・「常用漢字表」(昭和56年10月1日号外内閣告示第1号)と「活字体」(明朝体
常用漢字表」の正式な題名は,「現代の国語を書き表すための漢字使用の目安」
「この表は,科学,技術,芸術その他の各種専門分野や個々人の表記にまで及ぼそうとするものではない。」(前書き)
「字体は文字の骨組みであるが,便宜上,明朝体活字のうちの一種を例に用いて現代の通用字体を示した。」(前書き)
常用漢字表では,個々の漢字の字体(文字の骨組み)を,明朝体活字のうちの一種を例に用いて示した。このことは,これによって筆写の楷書における書き方の習慣を改めようとするものではない。字体としては同じであっても,明朝体活字(写真植字を含む。)の形と筆写の楷書の形との間には,いろいろな点で違いがある。それらは,印刷上と手書き上のそれぞれの習慣の相違に基づく表現の差と見るべきものである。」(「字体についての解説」)
明朝体活字は特有の誇張や筆画の誤りがあり,その通りに書くものではないのである。」「漢字に限らず,文字というものは,活字体と筆写体とでは,少し違うところがあるものであり,それで差し支えないのである。」(『漢字の教養』)
「宋代に発明された活字体は,すでに完成していた楷書を利用して人工的に作ったもので,もっぱら他の文字との異同が一見してわかり,誤読しないという実用的な見地が最も重要な印刷用の書体である。」
筆記体である楷書を印刷体である活字体で律しようというのは根本的に無理なのである。漢字の集大成ともいえる清代の康煕字典明朝体で標準字体を示したところから誤解が生まれた。」(『常用書体字典』)
→私たちが手で書く文字すなわち書写体と,活字体とは全く別のものであり,手書きの文字を書くときに活字を基準にしてはならない。











3漢字教育のありかた

a原田種成・石井勲
漢字の成り立ちからの説明
読みについては漢字制限をしない
片仮名の指導による筆順の問題の解消

b漢字の成り立ちの問題点
藤堂明保『学研漢和大字典』『漢字語源辞典』と白川静『漢字』『字通』『字統』『字訓』の論争
−『説文解字』と『金石文』−「音韻論」と「意味論」−