『古事記』の暗誦は可能か

 こんばんは。今回は、『古事記』のことを書いてみます。『古事記』の書かれた時代は、上代です。上代文学とは、奈良時代の文学のことです。それまでは、日本語を表記する手段も確立されておらず、口承文学でした。記載文学として、まとまった日本語が書かれたのは、八世紀です。その時期の文学のことを上代文学といいます。上代文学の主な作品としては、
  『古事記』(歴史的文学書)
  『日本書紀』(歴史書
  『万葉集』(和歌集)
  『風土記』(地理書)
  『懐風藻』(漢詩集)
などがあり、その中でも『古事記』と『万葉集』は、重要です。
 『古事記』は、稗田阿礼という人物が暗誦していたといわれていますが、本当に暗誦できるのか、疑問視されてきました。しかし、昭和初期にアイヌ語の研究で有名な金田一京助博士が、アイヌの間で口承されてきたユーカラを全部暗誦している女性を見つけ、自宅に呼び、原稿をおこしました。つまり、その女性は、『古事記』と同じぐらいの分量の『ユーカラ』を暗誦していたというわけです。この出来事があってから、稗田阿礼が『古事記』を暗誦していたことは確実となりました。人間の能力とは、偉大なものですね。むしろ、現在は、情報を保存できるので記憶力が退化しているのかもしれませんね、