古文の学習参考書(5)

こんばんは。今回は、古文の読解について考えてみます。一通りのジャンルを読む正統派の参考書としては、『基礎古文問題精講』(旺文社)があります。ただし、この本は文法的に読むことを徹底的に心がけているので、少し読解力の養成としては、物足りない面もあります。教科書の文章と入試問題とをうまく扱った本としては、石井秀夫氏の書いた『古文の核心』(学研)があります。この本は隠れた名著です。学校の古文の学習にも役立ちますし、入試にも役立ちます。すばらしい本です。著者の石井秀夫氏は、旧東京教育大学の出身で、国語学者として多くの業績を残した佐伯梅友氏の門下で、筑波大学附属高等学校の教員を経て、代々木ゼミナール講師と駿台予備校講師を務めた方です。その切れ味は鋭く、石井秀夫氏の作成した読解のメソッドは、今でも継承され、発展しています。接続助詞の研究論文などもある実力派です。最近は、この石井秀夫氏の名前も著作も知らずに、予備校の現場で石井秀夫氏の開発した方法を使っている若手の講師が増えたことは嘆かわしいかぎりです。
多少切れ味は劣りますが、『望月のハイレベル古文』(代々木ライブラリー)も、丁寧に書かれていてよい本です。他に、『入試問題精選・古文』(河合出版)や『得点奪取・古文』(河合出版)も手堅く書かれていてよい本です。
以前は土屋博映氏の書いた『土屋の古文講義12』(代々木ライブラリー)もよかったのですが、収録されている入試問題が古くなってきたことと、この本の解き方が今では通用しなくなってきたのが難点です。また、間違った記述も訂正されていません。このような点から、現在ではお薦めできなくなってきています。
 次回は、古文単語集について考えてみます。